活躍するリケジョ010 三洋化成工業 杉本佑子さん

2023年02月17日

ゴムタイムス社

活躍するリケジョ010 三洋化成工業

高機能マテリアル事業本部研究部 高機能添加剤研究グループ 杉本佑子
さん

◆現在担当されている仕事について教えてください。

 私が所属する高機能マテリアル事業本部の高機能添加剤研究グループでは、プラスチックの帯電防止剤やガラス繊維などフィラーの樹脂への分散性を向上させる分散剤や親水性を付与する添加剤など、プラスチックに機能を付与する添加剤の開発を行っています。
 私は永久帯電防止剤「ペレスタット」、「ペレクトロン」の開発を担当しており、製品の帯電防止性能の向上、新たな樹脂材料に適応できる帯電防止剤や透明性を維持できる帯電防止剤などの既存品の改良を主に担当しています。
 また、営業と同行し顧客先を訪問したり、展示会に参加して技術的な説明を行うなど技術的なサポートや製品製造時の生産プロセスの改善やコストダウン提案、不良品が発生した場合にはトラブル要因の解析・分析など開発以外でも担当製品に関わる様々な業務に携わっています。

◆ペレスタット、ペレクトロンについて。

 「ペレスタット」、「ペレクトロン」はイオン導電ポリマー材料で、静電気によるプラスチックの障害を半永久的に防ぐことができる製品です。使用用途としては掃除機のダストボックスやエアコンのフロントカバーなどの家電製品や防爆対応ヘルメットなどで使用されています。
 最近では精密電子部品を搬送するトレーで剥離帯電によるトラブル防止の用途での使用が増えています。
 他にも喘息の吸入器や新型コロナウイルスの防護服など医療用途の採用も増えており、歴史がある製品群なのですが、日々ニーズの高まりを実感しています。

◆現在の仕事のやりがいや仕事をする上で心がけている事は?

 営業や生産を始め、タイなどの海外の関係会社など関わる部門が多いので、コミュニケーションが非常に大事になります。大変ではありますが、三洋化成グループのチーム一丸となった取り組みが成功して、生産工程の改善や製品の開発に繋がった時にやりがいを感じます。
 仕事をする上では、人と人との繋がりが一番大事だと考えており、社内外を問わず積極的に人と関わっていくことを心がけています。自分の意見と相手の要望をお互いに理解しないと製品開発は進まないので、話し合いを積み重ねていくことを重視しています。
 チームのリーダーとしては、効率良く業務を進められるように重要性、緊急性、難易度を考えて、業務をメンバーに割り振る事を意識しています。

◆理系の道に進んだきっかけや学生時代のことを教えてください。

 他教科と比較して、数学と理科が好きだったので、高校は数理科学科を選択し、大学と大学院では工学部の応用化学科で高分子化学を専攻しました。
 大学入学後、授業や実験を通して、モノづくりに貢献できる化学の魅力に目覚めてのめり込んでいくようになりました。
 研究室では学会での発表が推奨されていましたので、海外での発表も含め、学会で発表する機会を多数頂きました。当初は緊張することもありましたが、非常に良い経験を積むことができたと思います。三洋化成工業

◆入社までの経緯や現在の職場環境について教えて下さい。

 大学院時代には土日も含めて研究に明け暮れていました。研究が好きでしたので、ごく自然な流れで研究職に就きたいと思い、大学院を卒業後、三洋化成に入社しました。三洋化成は京都に本社と研究所があり、私が弊社を志願した理由の一つには京都で働けるという事もありました。
 入社当初は、インキや人工皮革のようなウレタン樹脂を開発する部署で主に新規製品の開発を担当しました。
 続いて、複写機やプリンターのトナー用樹脂を開発する部署に9年間在籍しました。この9年間で開発担当者からチームのリーダーも経験する事ができました。大変なことも多かったですが、一番濃い経験を積むこともできたと思います。自分が開発した製品が実際に採用され、お客様に感謝された時は非常に嬉しかった想いがありました。2019年からは現在の部署に所属して永久帯電防止剤の開発をしています。
 職場は気軽に質問や意見を交わせられる風通しの良い環境です。研究テーマの選択も裁量が大きく、私が働いている桂研究所は自然豊かな場所で景色も良いので、集中しやすい環境だと思います。
 働き方改革も進んでいて、テレワークやフレックスタイム制度などを柔軟に活用できるのでプライベートとのワークライフバランスは両立しやすいと思います。服装も自由に選択できますので、私も実験がない日には私服で勤務をしています。

◆今後、どのような取り組みをしていきたいですか?

 ユーザーに喜んで頂けるような製品開発や技術サービスを目指し、高い信頼を獲得していきたいです。 
 本来、技術職は研究開発での目標を立てる事が多いと思いますが、生産や営業も含め一丸となって目標に進んでいける組織作りを推進していきたいです。また、チームが最大の力を発揮するためには、個々のメンバーの能力向上も必要ですので、後進の指導も行い、人材育成にも注力していきたいです。
 
◆お休みの日に何をされていますか?

 趣味のバスケをすることが多いです。小学5年生からミニバスで始め、高校時代には近畿大会にも出場しました。ポジションはフォワードからセンターで1対1のカットインが得意です。現在は社会人のクラブチームに所属し、楽しみながらプレーしています。
 バスケはチームスポーツなので、試合で勝利した時には、全員で喜びを共有できることが魅力です。試合で勝つために、課題解決法を模索してチームで行動する部分などは仕事にも活かされていると感じています。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

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