【夏季トップインタビュー】十川ゴム 十川利男社長

2022年08月02日

ゴムタイムス社

■ 夏季トップインタビュー

コロナ前の売上回復目指す 中国紹興十川は好調維持

十川ゴム 十川利男社長 

 

 コロナ前の業績への回復を目指す十川ゴム。昨年の業績や今期見通しなどについて十川社長に聞いた。

◆前期を振り返って。
 コロナの感染拡大に伴い、半導体などの部品不足による各産業の減産、各種原材料価格の高騰などの影響を受け、景気は行きつ戻りつという状況だった。このような状況下、前期(21年度)の業績においては、売上高は前年度比105・2%、経常利益も昨年を上回った。しかしこれは前期の落ち込みが大きすぎたことによるもので、19年度と比較するとはるかに及ばない状態だ。
 足元では売上利益共にほぼ昨年同様に推移しているが、自動車産業の減産や汎用品の動きも鈍い事から不透明な状況は今後も続くと予想している。
セグメント別では、ホース関係ではゴムホースは土木・建設機械産業用が大幅に増加、自動車産業用の復調などにより増収となった。
 樹脂ホースは、農業・園芸産業用のスプレーホースは増加したが、住宅設備産業用が減少したため全体では微増となった。ホース全体の売上高は同108・2%となった。
 ゴム工業用品類の型物製品は、ガス産業用、住宅設備産業用、医療機器産業用が好調に推移し増収となった。
 押出・成形品は、船舶・車両産業用が堅調だったが、自動車生産が減少したため全体としては微増となり、ゴム工業用品類全体の売上高は同104%の増収となった。
 ◆海外拠点の状況。
 中国浙江省にある紹興十川橡胶は好調に推移しており、前期21年度(1~12月)の売上高は前年度比118%、経常利益は同160%となった。
 分野別にみると、金型成形品の売上高は中国国内やアセアン向けは約30%以上増加、中国国内で消費する建機向けのホースアッセンブリーの売上高も約20%増と大きく伸長した。
 売上高比率は20年度は中国向けが80%強、日本向けが20%弱となった。
 ◆価格改定の進捗状況。
 原材料価格だけでなく、物流費など生産に関わるすべてのコストが増加し、自社努力で吸収できる状況にはない。また、調達にも多大な労力がかかっており、その過程で従来使用していた材料を入手できないケースもあり、新規の配合設計、検証にも時間とコストを要している。既に製品全般で価格改定を実施しているため、断続的に値上げを実施することは困難と考えてはいたが、こうした状況の下で製品を安定的に供給するためには、今後も値上げの実施をお願いするしかないのが実情だ。
 ◆対面でのコミュニケーションについて。
 6月から社内外において感染対策に留意しながら対面での活動を再開した。コロナ禍において、ウエブ会議などデジタル面では良い面もあったが、やはり対面でコミュニケーションをとることの重要性を感じた。良い面は残しつつ、アナログとデジタルの融合を目指していきたい。
 また、社内においてもコミュニケーションが少なくなると従業員のモチベーションの低下に繋がる。対面での打ち合わせを増やし、コミュニケーションが不足しないようにしていきたい。
 ◆今期の見通し。
 21年度と22年度の2年間で、コロナ前19年度の売上高に戻すことを目標と掲げている。今期22年度は2年目になるが、今期の目標を達成すれば19年度の売上高に戻すことが可能となる。今期の売上高の見通しは前期比で6%程度の増収で着地したいと考えている。

十川利男社長

十川利男社長

 

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