【新年インタビュー】住友ゴム 山本悟社長

2022年01月03日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

経営基盤をさらに強化、循環型社会への貢献を目指す

住友ゴム工業 山本悟社長

 

 2025年を目標年度とした新中期計画の実現を目指し、様々な取り組みを推進している住友ゴム工業。年末記者会見で山本悟社長に昨年の振り返りや今年の方針などを語ってもらった。

◆21年を振り返って。

 20年から続く新型コロナウイルスの影響で様々な制約の中での事業活動となった。原材料や海上運賃の高騰など外部環境の逆風もあったが、全部門の努力により成果を出すことができた。上期は、コロナ禍においても様々な準備をしていた事が奏功し、一昨年下期からの需要の回復もあり、増販による成果を上げることができた。

 ただ、下期では原材料高騰などの環境によるマイナスの影響が想定以上に響き、上期時点では通期の見通しを上方修正したが、下期の大幅な変化により、残念ながら上方修正した数値を期初の数値に戻すことになった。

 特にコンテナ便の逼迫、原材料の高騰は想像を超えるインパクトだった。

 その一方、高価格商品の増販効果もあり、各地区で販売の勢いも感じている。

値上げの実施、販売構成の変化による単価の向上など一歩一歩積み上げていくことができた。

 このような状況下、2025年度を目標年度とした中期計画の実現に向けて、全社プロジェクトを強力に推進するとともに、世界の主要市場に構築した製販拠点の効果の最大化を目指して、各地区の顧客ニーズに対応した高機能商品の開発、増販、競争力強化に取り組んできた。

 新中期計画の進捗でも、しっかりと地固めをすることができ、「Be The Change」プロジェクトにおいても様々な改善改革を実施し、仕事の進め方も含め、目指す目標を超える水準で成果が出すことができたと感じている。

 ◆3つのバリュードライバーについて。

 当社の経済的社会的価値を高めていくための施策として、高機能商品の開発増販、新たな価値の創出、ESG経営の推進の3つのバリュードライバーの実行を推進している。

 高機能商品の開発増販の取り組みでは、世界各地の旺盛なタイヤ需要に応えるため、21年2月に米国工場でSUVライトトラック用タイヤを中心とした増産投資、21年7月には今後のブラジル市場の成長を見込み、各種タイヤの増産投資も決定した。

 現地生産量を増やすことで地産地消化を進め、収益力を強化していく。

 開発では、冬用タイヤの開発拠点である北海道名寄市のタイヤテストコース内に、国内最大級の屋内氷上試験施設「NICE」を、昨年1月に開設した。新施設により、天候に左右されずに高精度な試験が可能となった。この開発施設を活用することで、冬用タイヤのさらなる高性能化と開発のスピードアップを図っていく。

 ESGの推進では、昨年2月にグループ全工場から排出されるCO2をグローバルで2030年に2017年比で50%削減し、2050年にはカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。

 8月にはサステナビリティ長期方針「はずむ未来チャレンジ2050」を発表し、社会課題解決に貢献できる当社のチャレンジ目標テーマを環境・社会・ガバナンスでそれぞれ設定した。

 事業を通じて社会課題解決に貢献し、サスティナブルな社会の実現を目指していく。環境ではサプライチェーン全体を通じ、タイヤ、スポーツ、産業品の各事業でCO2の削減、原材料のバイオマス化、リサイクル化を行い、サステナブルな商品開発を進めていく。

 製造では次世代エネルギーである水素を活用する実証実験の取組みを開始した。タイヤを製造する加硫工程で発生する蒸気を水素に転換していく。

 まずは2023年に白河工場の生産システムで実証実験を進めていき、白河工場全体に展開、続いて国内工場、海外工場へと水素を活用した製造工程を拡大していく。これにより、再生可能エネルギーも含めて製造段階でのCO2排出ゼロを目指していく。

 また、サステナビリティ商品自主基準を制定し、タイヤだけではなく、スポーツ、産業品の各事業に導入を進め、自社基準をクリアした商品の販売を拡大していき、循環型社会への貢献を目指していく。

 ◆タイヤ事業について。

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