【新年インタビュー】TOYO TIRE 清水隆史社長

2022年01月04日

ゴムタイムス社

 新年インタビュー 

セルビア工場が開所、躍動に臨む年に

TOYO TIRE 清水隆史社長

 

 昨年は新中計を策定し、新しいステージへのシフトを推進したTOYOTIRE。
年末の記者会見で清水隆史社長はセルビア工場の開所について「縮小均衡の模索が一部で進むタイヤ業界において、新たな生産拠点を開業できること自体、当社には他社にはない新たな成長へのジャンプ台が待っている」と期待を寄せた。

 ◆21年を振り返って。

 昨年は緊急事態宣言が発出されるなどクォーターごとにコロナ禍の影響を受けており、企業はいかなる距離をおいて事業経営を進めていくのか、21年はまさにウィズコロナを模索する1年だった。
 緊急事態宣言の対象となる拠点では、即座に事務所を閉鎖し、私自身も含めて原則的に完全在宅勤務を徹底した。半ば強制的に完全在宅勤務を断行することで、コミュニケーションなどの仕事の方法において、様々な工夫が生まれ、結果的に環境への適応力や多様な働き方を広げることに繋げることができた。

 ◆新中計について。

 また、昨年は中期経営計画のスタートの年であり、新しいステージにシフトするための重要な年となった。中計は数年後の企業規模を想定して追いかけるという従来型の策定方法ではなく、当社独自の強みをまず再確認し、今後起こりうる変化と課題を直視して、あるべき姿を探り、さらに企業ステージを高みにシフトアップしていくために、どのような変革を起こすべきかという視点で議論を重ね、昨年2月に発表することができた。
 中計では差別化された自らの強みをさらに磨き、特定の領域において圧倒的な存在感を確保していくこと。これまで十分に強化を図ることができなかった機能基盤を強固にしていくこと。持たざる強みとして他社にはない機動力を発揮することで競争の優位性に繋げていくことの三つが自分たちの企業力の源泉であると定義した。
 事業経営の底流には規模の追求ではない上質な利益向上という独自の経営概念がある。
 例えば、マレーシアのシルバーストーン工場ではローカル向けに汎用ゾーンのタイヤを供給してきたが、当社が強化している付加価値の高い商品供給戦略に沿う事ができない環境にあり、また現地マーケットにおいても一定の役割を果たし終えたことなどにより、昨年2月に閉鎖した。その一方、欧州のセルビアで新しいタイヤ工場の建設に着工しており、稼働にに向けた準備を着実に進めている。シルバーストーン工場ではピーク時には年間300万本のタイヤを生産していたが、セルビア工場では23年のフル稼働時には年間500万本の生産能力を有することになり、高い競争力を備えた付加価値の高いタイヤを生産し、当社の主力収益市場である北米向けにも相当量の供給展開を図る計画を立てている。
 このように点ではなく、俯瞰して面で見れば、経営上良質な資産の入れ替えという表現もでき、戦略的にグローバルで収益構造の質を高めることを追求していく。
 また、商品企画、マーケティング部門が地域ごとに売るべき収益性の高い重点商品をあらかじめ設定し、その販売比率を過半の55%超まで高めていくことを独自の重要指標として掲げている。顧客に寄り添り沿いながら、差別化された技術によって、魅力ある高付加価値商品を開発し、喜ばれる商品をしっかり作り、技術、生産、販売がかみ合ったビジネスモデルを構築し、より存在感のある筋肉質な経営体質を確立していく方針を示したが、初年度の昨年は一定の成果がつかめたと評価をしている。

 ◆足元の業績について。

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