【新年インタビュー】住友ゴム工業 山本悟社長

2021年01月03日

ゴムタイムス社

 

山本悟社長

山本悟社長

■ 新年インタビュー

新企業理念策定し環境変化に対応

住友ゴム工業 山本悟社長


 

 2025年を目標年度とした新中期計画の実現を目指し、全社一丸となってさまざまな取り組みを推進している住友ゴム工業。新たに策定した企業理念や今年の方針などを山本社長に語ってもらった。

 ◆20年を振り返って。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって国内外ともに経済活動が停滞し、当社事業も大変大きな影響を受けた。
 とくに4~6月は非常に厳しい状況で推移したが、下期は持ち直しの動きがみられた。需要が回復している地域も見られ、7~9月は前年同期比で減収ではあるものの、中国や北米での販売増を主な要因として、各利益は増益につなげることができた。
 コロナ禍で炙り出された課題を最優先に取りかかったほか、ワークスタイルの変革や営業のデジタル化などニューノーマルに適応するための課題にも取り組んできた。
 新中計では、①高機能商品の開発・増販②新たな価値の創出③ESGの推進の施策を打ち出し確実に行ってきた。

 ◆タイヤ事業について。
 スマートタイヤコンセプトで掲げている性能持続技術を採用したタイヤ「ビューロVE304」や「エナセーブネクストⅢ」を開発し上市した。エナセーブネクストⅢにはセルロースナノファイバーを採用しているが、同素材をタイヤに採用するのは世界初だ。ESGの観点からも大変有意義なことである。これらのタイヤはお客様から高い評価をいただいた。
 20年8月にはダンロップ史上最高の氷上性能を持つスタッドレスタイヤ「ウィンターマックス03」を新たに発売し、販売も順調に伸びている。
 新車用タイヤは、高機能商品の拡販を進め、さまざまな車両への納入を行った。加えて、2035年を目途に新車販売の50%を新エネルギー車両に切り替えるという中国の方針に率先して対応すべく、EV車両へのタイヤ納入に積極的に取り組んでいる。

 ◆海外での状況は。
 中国では、現地における実車評価体制を新たに強化・確立し、商品開発のスピードを加速させている。また、SNSを活用して販売店向け動画の定期的な配信や販売店が直接タイヤを購入できるECサイトの設立などに取り組んだころにより、販売店との関係強化や販売増につなげた。
 北米では、「ファルケン」のワイルドピークシリーズの拡販に努めた。市販市場の年間販売本数は、前年比約1・5倍の見通しとなる。欧州でも、「アゼニスFK510」など高性能タイヤの拡販に努めており、順調に推移している。

 ◆産業品事業について。
 お客様に最高の安心と安全を提供するために、医療用精密ゴム部品と制振ビジネスに注力した。
医療用精密ゴム部品では、20年からスロベニア工場を本格稼働をし欧州での供給拡大を図っている。
 またでは、戸建住宅用制震ダンパー「ミライエ」が引き続き好調に推移しており、発売以来の累計納入棟数は5万棟を超えた。
 そのほか、ゴム手袋は新型コロナの影響で世界的に需要が拡大したことを受け、ゴム手袋などを製造するマレーシア工場で生産能力拡大を決定した。21年5月の稼働を目指し、準備を進めている。

 ◆スポーツ事業は。
 コロナ禍で厳しい状況の一年となった。そのなかでも、高機能商品の開発や海外ECチャネル強化による増販、デジタル展示会の開催など新しい取り組みに着手し、下期を中心に着実な成果につなげることができた。
 ダンロップテニスボール「セント・ジェームス・プレミアム」はタイヤ技術の活用により空気圧が従来品に比べて長持ちすることを実現した。地球環境に配慮した新商品として話題となった。

 ◆新たな価値の創出への状況は。
 昨年は、新出光などと協業したタイヤの空気圧や温度を

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