活躍するリケジョ006 豊田合成 田中光恵さん 大場萌さん 佐藤厚子さん

2020年10月27日

ゴムタイムス社

活躍するリケジョ006 豊田合成

商品開発部 外装開発室 田中光恵さん
材料技術部 樹脂材料技術室 大場萌さん
先端材料開発部 佐藤厚子さん

 

「目指すのはウレタンの専門家です」

「自社の開発領域という枠にとらわれずに発案を続けていきたい」

 

 ◆現在、どのような開発をしていますか。

 大場 材料技術部の樹脂材料技術室でハンドル用ウレタン材料の低コスト化や不具合対策、新規ニーズに対応するための材料開発などを担当しています。具体的には製造現場と共に不具合解消の議論をしたり、新規開発においてはチームで要因解析を行い、実施すべき対策について議論したりしています。

 佐藤 私は未来を見据えた開発を目的として今年1月に新設された先端材料開発部で、植物由来材料である「セルロースナノファイバー」を活用した材料の開発を担当しています。まだ社内製品へ採用されていませんので、環境負荷低減に貢献できるよう材料開発を行っています。

 田中 商品開発部の外装開発室で、5年以上先にリリースされる自動車の外装部品の新商品の企画と開発をしています。自動車のEV化や自動運転の時代を予測し、外装部品のあるべき姿や機能を明確にした上で企画を立案し、それを具体的に形にしていくのがメインの仕事となります。自動車オーナーやカーメーカーがまだ認知していない、潜在ニーズを掘り起こす事が必要です。

商品開発部 外装開発室の田中光恵さん

 ◆仕事の魅力ややりがいを教えて下さい。

 大場 ラボレベルでの実験からハンドルの製品開発まで、一貫して関わることができる事にやりがいを感じています。実際の製品の成形まで関わる事で、材料以外の部分で新たな知見を得る事ができ、多面的に物事を見る事ができるようになりました。また、製品の仕様面まで含めた議論を関係部署とできることも魅力の一つです。

 佐藤 社内でセルロースナノファイバーを取り扱う部署が他にないので、自分が会社の中で第一人者になれるチャンスがあるというのがやりがいだと思っています。大学教授にアポを取ったり、メーカーを探して、サンプルを取り寄せたり、仕事の自由度が高い事もやりがいに繋がっています。1番の目標はやはり自動車部品への採用ですが、家電など異分野での用途展開も目指していきたいです。

 田中 自分が考えた企画を周りのメンバーに提案し、彼らを巻き込み試行錯誤しながらアップデートを繰り返し商品を具体化していく過程に魅力を感じます。また、イラストや資料説明だけでなく、モックアップを製作して提案することで、リアルな反応を生で見聞きすることにも面白さを感じています。

材料技術部 樹脂材料技術室の大場萌さん

材料技術部 樹脂材料技術室の大場萌さん

 ◆今の仕事で心がけていることは。

 大場 後工程の方としっかり連携を取りながら進めていくことが大事だと思っています。開発テーマの位置づけや必要性を把握することを目的に週1ペースで進捗状況を確認し、困りごとなども関係者で共有するようにしています。

 佐藤 視野が狭くならないように心がけています。展示会やシンポジウムに参加し、セルロースナノファイバーがどのように使用されているか、採用されるためには何が足りないのか情報収集に努めています。

 田中 アイデアを具現化するには他の多くの部署を巻き込む必要があるので、彼らが力を発揮して気持ちよく仕事できる環境を如何にして作っていくのかということに気を配っています。
 また、他業界の新商品や成功例などを我々の提案にも活かせないかと、常にアンテナを張って、自動車というカテゴリーにとらわれずにニュースや雑誌など様々なものを見るようにしています。また、ちょっとした雑談の中にもヒントがあったりするので、周りの人とのコミュニケーションも大切な情報源だと考えています。

先端材料開発部 佐藤厚子さん

先端材料開発部の佐藤厚子さん

 ◆理系の道に進んだ理由と現在の仕事を選んだきっかけについて教えてください。

 大場 論理的に筋道を立てて考えることが好きでしたし、身の回りの様々な現象を理論的に説明できるという化学に面白さを感じました。大学では応用化学を専攻し3年間化学について幅広く学びました。4年時に無機合成化学研究室に所属し、さらに単結晶に関して研究を行いました。
 化学と材料とものづくりを就職活動の軸に添えて、その中で自分が開発した材料が自動車という身近なものに使われることで達成感を感じやすいのではないかと思い、当社を選びました。

 佐藤 小学生の時の理科の実験がとても楽しくて、化学が好きになり、理系を選択しました。大学では高分子全般を学び、大学院ではポリマーブレンドの構造について研究しました。就職は、やはり高分子の知識を活かせる会社がいいと思い、現在の仕事を選びました。材料から製品になるまで一貫して携わることができる上、製品が分かりやすい自動車向けということも決め手となりました。

 田中 私も小さい頃から理科が好きで、高校で有機化学の面白さにはまり、大学と大学院でも有機合成化学を専攻しました。就職では、目に見えてわかりやすいモノの開発に携われることと研究開発に注力している会社であることを軸に企業選びをしました。

 ◆今後の抱負目標は。

 大場 目指すのはウレタンの専門家です。ウレタンという1本の軸を持った上で、樹脂全般に関しても幅広く知見を広げて、ウレタンと樹脂の違いを語れるようになりたいです。ただ、今はまだウレタンに関しての専門性を身につけないといけない段階だと考えています。

 佐藤 材料開発の専門家として、要望側の課題や背景などもきちんと理解した上で、条件に合致した材料を提案できるようになりたいです。

 田中 これまで当社が扱ってこなかった外装商品の提案もしていきたいです。他社との協業や新規材料の登場などにより数年前には難しかったけれど、今は出来る事も多々ありますので、変に敷居を立てずに発案を続けていきたいです。

 ◆仕事とプライベートを両立させるために心がけていることや休日の過ごし方など教えてください。

 大場 毎朝通勤時に1日のスケジュールをイメージし、会社に着いた時には仕事をスムーズに始められるように優先順位を明確にしています。休日は登山をしたり、京都や長野などの近場に車で出かけます。登山は友人に勧められて始めましたが、運動不足の解消や気分転換になっています。

 佐藤 仕事を大きく月単位、週単位で分けて、今日するべきことを考えるようにしています。その週にやるべき事を行い、週末は気持ちを切り替えてリフレッシュするようにしています。休日はドライブをして、街の散策や御朱印集めなどを楽しんでいます。御朱印帳は、現在4冊目になっています。

 田中 私は仕事とプライベートを分ける事がなかなかできていませんが、仕事だけに忙殺されないように、優先順位付けだけはしっかりするようにしています。休日は料理のレシピを考えていることが多いです。美味しい物を食べたり珍しい料理を見ると、どうやって作るのかに興味が向かい、すぐレシピを考え始めます。今の部署に異動する前はゴム配合開発を担当していたので、食材や調味料の配分をついゴムの配合に見立ててしまいます。

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

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