創業100周年記念特集 平泉洋行 三良主義ベースにさらなる発展へ

2020年10月12日

ゴムタイムス社

平泉洋行 三良主義ベースにさらなる発展へ

 

株式会社平泉洋行

 

 今年6月に創業100周年を迎えた平泉洋行は、1920年にドイツの有機ゴム用薬品(加硫促進剤及び老化防止剤)を輸入し、日本のゴム企業に販売したのが始まりとなっている。

 同社は2009年にユニット制へ移行し、現在は「エラストマービジネスユニット」「H&Kビジネスユニット」「機械ビジネスユニット」の各ユニットで事業を展開している。また、関連会社として伝動ベルトを始め、各種ゴム・プラスチック製品を取り扱う浩洋産業や国内外のメーカーへポリウレタン樹脂を供給するH&K(エッチアンドケー)の2社とともに、3社協業体制で『平泉グループ』を確立している。

 


 

 創業100周年に寄せて
 輝ける未来への挑戦 戸張傳二郎社長

戸張傳二郎社長

戸張傳二郎社長

 2020年6月に、平泉洋行はお陰様で創業100周年を迎えました。ただし第二次世界大戦により一度会社の活動ができなくなった時期がありました。再開したのは1950(昭和25)年ですから、創業70周年ともいえるわけです。それまでの30年はいわばわが社、わがグループの創成期で、ドイツのバイエル社のゴム薬品の日本での総代理店でした。当時は仕入れれば売れる時代でしたが、戦後は国産メーカーとの競争が始まりました。しかし創業者は慎重な方でしたので、無理に事業を広げようとは考えませんでしたが、それでも十分に優良企業であり続けたのです。

 オイルショックの頃からは、商売の幅を広げ、顧客の皆さんに次の商品を供給すべく、競争力のある新しい化学品を海外で探し始めました。そうした活動から生まれたのが浩洋産業であり、エッチ・アンド・ケーでした。

 私は2007年に3社の代表となりましたが、さらなる規模の拡大、また若くてもチャレンジしがいのあるビジネスの広がりが必要だとずっと思ってきました。そうした施策の延長で、2009年には会社組織を再構築してユニット制を開始しました。

 私達はあくまでも化学専門商社です。しかし、「化学」の範囲は無限大です。自分達の視野を広げることが必要なのです。現在は化学に関するメーカー機能と商社機能を組み合わせて、SDGs(国連が定めた2030年までに達成するための持続可能な開発目標)という指針をベースに、新たな価値を作り出していこうとしています。

 まだまだ道半ばですが、わが社も力をつけてきました。2019年からは新たな3ヵ年経営計画に基づき、Challenge for the best future(輝ける未来に挑戦しよう)というスローガンを掲げています。

 わが国には100年以上続く長寿企業が多数ありますが、そうした企業が大切にしているのが、経営理念や行動指針です。次の101年目を迎えるに際して、これからも持続的に会社が繁栄するために、経営理念「三良主義」や行動指針を全社員に浸透させ、業務改革を徹底して、これを機に社業のさらなる発展に向けた起点の年にしてまいります。

 当社が化学品を基盤として事業の幅を広げ、そして徐々に変遷させながら持続的に成長することができたのは、これまでに平泉グループに在籍した先輩方が、時代や環境の変化に合わせて果敢に挑戦を重ね、改革を行ってきたからです。

 これからは川下にも川上にも商品を増やし、一層お客様の役に立つことができる企業であり続けたいと思います。

 


 

 海洋関連商材に力 SDGsに着目

H&K工場(千葉県香取郡)

H&K工場(千葉県香取郡)

 ポリマーやゴム薬品などのゴム原料、ウレタン原料、熱可塑性エラストマーなどを扱うエラストマービジネスユニット。同ユニットは、これまでポリマーやカーボンなどの汎用品であっても、特殊性のある差別化商品をお客様へ提供してきた。

 こうした特殊品は使用される量は少ないが、一度使用されると継続的に使用してもらえるため、競争に巻き込まれることの少ない商品であり、それが強みとなってきた。

 ただ、特殊品ビジネスの弱点は、継続的な採用で売上が生まれるために、一度取引が始まれば営業努力はあまり要らないという点。同ユニットでは、そうした点を払拭すべく、特殊品を軸とした上で、最近はタイヤなどで使われるメインのポリマーの取扱いを始めるなど、ビジネスの幅を広げる取り組みも進める。

 海外販路の拡充にも力を入れる。12年に同社と浩洋産業の共同出資で設立した平泉貿易(上海)有限公司(現在はH&Kも出資)を主軸に、中国にいち早く橋頭堡を築き、さらに東南アジアへ進出する構想もある。

Seabin(シービン)

Seabin(シービン)

 関連会社のH&K製品を販売するH&Kビジネスユニット。ただ、同ユニットの事業活動はそれだけに留まらない。H&K製品を購入するお客様が、他に必要とされる商品や困っている案件などを探り、それを代替品を含めて提案・提供する、「H&K製品をオープナー」として商材を広げる、そんな営業活動を展開中だ。

 このため、同ユニットが扱う商品は幅広く、H&Kで開発・製造した接着剤、注型剤、弾性舗装材などは様々な分野で、試作から量産品に至る幅広い用途で使われている。

 最近は医療や介護、アミューズメント関連企業との新たなビジネスも生まれており、これら取引先にH&K製品を製品仕様の材料として使用してもらい製品化し、その製品を買上げ、第3の取引先へ販売するビジネスを展開している。

 今後もH&K製品のメーカー営業に加え、商社機能を一段と高めることで、メーカー機能と商社機能の両輪でビジネスを拡大させる考えだ。

 1960年にイギリスのWallace社の販売代理店となって以来、ゴム用試験機や成形加工機、プラスチック試験機、タイヤ生産機械・試験機など様々な機械を取り扱う機械ビジネスユニット。同ユニットでは、これら機械とともに、機械を仕入れているネットワークを生かし、2005年からはCAEソフトウエア(流動解析・達成解析)の取扱いを始めた。その結果、コンピュータ制御の機械はもちろん、サーボモータ、専用ネットワーク、特殊なソフトウエア技術を融合した機械装置、画像解析結果を制御へフィードバックする技術なども複合的に扱えるようになっている。

JeLLYFISHBOT

JeLLYFISHBOT

 今後の方針は、業容拡大は重要だが、その活動は地道。このため、メンテナンスなどを通じ、取引先のニーズを把握する。そのニーズと海外の情報をいかに的確にマッチングさせられるか、その活動量及び精度を上げることと、スピードが大切になる考えている。

 最近は新規事業への取り組みも加速させている。新規事業では、昨年発足した「経営企画ユニット」が中心となり、SDGsを軸とした各種製品の販売を始めている。

 SDGsに着目した新規商材として注力するテーマが「海洋関連」「アスベスト関連」だ。海洋関連では、18年11月に海や湖に浮遊するゴミ(マイクロプラスチックを含む)を自動回収する「Seabin(シービン)」の販売を開始。今年2月には水上に浮遊するゴミを遠隔操作で回収する仏製のドローン「JELLYFISHBOT(ジェリーフィッシュボット)」の取り扱いを始めた。

 シービンは昨年から本格的にビジネス展開を開始。現在はシービンを通じ、地方自治体や企業、NPO法人とのネットワークが広がりつつある。

アラートプロ1000

アラートプロ1000

 例えば、海洋汚染・マイクロプラゴミ問題に取り組む神奈川県とは、昨年5月に国内で初めてシービン1台を湘南港(江の島ヨットハーバー)で試験運転を実施。その後、その効果が実証され、神奈川県が1台購入。また同社から寄贈1台と合わせ、合計2台が稼働。この取り組みが評価され、昨年5月に神奈川県の黒岩祐治知事から感謝状が戸張社長に贈呈された。

 アスベスト関連では、昨年8月に空気中のアスベストをリアルタイム測定する「ALERTPRO(アラートプロ)1000」の販売に関し、英国のALERT社と総代理店契約を締結した。

 同社では次の100年に向けて、「自社の利益を追求するだけでなく、事業を通じてお取引先に、また社会に貢献する」という経営理念の実現を目指し、その歩みを前進させていく。

 


 

100年の歩み 沿革

1919年(大正8年) 橋口巳二、亀戸ゴム製造所を設立
1920年(大正9年) ゴム輸入・販売を目的として亀戸ゴム製造所 平泉洋行薬品部を創設
1921年(大正10年) バイエル社(独)と代理店契約を締結
1924年(大正13年) 平泉洋行薬品部(合資会社)を設立 / バイエル社ゴム薬品の日本総代理店として、ゴム薬品のPR、販売活動を行う
1927年(昭和2年) バイエル社ゴム薬品の東洋総代理店資格を取得 / 神戸支店を開設
1928年(昭和3年) ゴム試験研究所並びにゴム技術者養成部門を新設
1932年(昭和7年) 橋口巳二亀戸ゴム製造所社長、日本護謨協会設立に参画
1933年(昭和8年) 平泉洋行薬品部を株式会社に組織変更 / 技術サービス機関誌として月刊誌「ゴム」を創刊
1939年(昭和14年) ゴム試験研究所を東京・尾久町に移転、試験設備を国内ゴム業界発展のため開放する
1943年(昭和18年) 国策に沿い、ゴム試験研究所を大日本ゴム研究所の母体として寄贈 / 第2次世界大戦のため薬品の輸入が途絶し、業務を停止
1950年(昭和25年) 日独通商協定成立にともない、バイエルゴム薬品の輸入再開 / 株式会社平泉洋行を設立、橋口巳二が社長に就任
1955年(昭和30年) バイエル社のポリウレタン技術導入を仲介、原料の輸入販売開始
1956年(昭和31年) 関西営業所を開設
1960年(昭和35年) 機械チームを発足
1961年(昭和36年) 橋口巳二死去
1966年(昭和41年) 株式会社平泉洋行の全額出資で、浩洋産業株式会社を設立
1973年(昭和48年) インパテックス社(スイス)との合弁で、ポリウレタン樹脂製造 を目的としたエッチ・アンド・ケー株式会社を千葉県香取郡神崎町に設立
1983年(昭和58年) 名古屋営業所を開設
1995年(平成7年) 業務拡張と効率化を計るため本社を東京都台東区柳橋に移転
1998年(平成10年) 関西営業所を神戸市から大阪市に移転
2000年(平成12年) 九州営業所を北九州市戸畑区に開設
2003年(平成15年) 環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証取得
2006年(平成18年) 九州営業所を現所在地(北九州市戸畑区ウェルとばた内)に移転
2009年(平成21年) ユニット制(HBU:Heisen Yoko businessunit)に移行
2011年(平成23年) 上海駐在員事務所を開設
2012年(平成24年) 上海駐在員事務所を廃止し、株式会社平泉洋行と浩洋産業株式会社の共同出資で、平泉貿易(上海)有限公司を設立
2017年(平成29年)  業平倉庫を移転し葛飾倉庫に
2018年(平成30年) 新規事業部⾨(経営企画ユニット)を⽴ち上げ
2018年(平成30年) 海洋プラスチックごみ回収装置「シービン(SEABIN)の販売に関し、仏POLARU社と総代理店契約を締結
2018年(平成30年) 12月期売上高100億円を達成
2019年(令和元年) 世界初の空気中のアスベスト測定器「ALERTPRO1000」の販売に関し、英ALERT社と総代理店契約を締結
2020年(令和2年) リモートコントロールで水面の浮遊ゴミを回収する仏iADYS社のJELLYFIHBOT(Jellyfish+Robot:くらげロボット)を販売開始

 


 

企業データ
株式会社平泉洋行
設立:1920年(大正8年)
資本金:5000万円
従業員:60名(平泉グループ合計115名)
売上高 :99億円(2019年12月期)
事業内容:各種ファインケミカル製品及び工業薬品の輸出入販売、ゴム・ウレタン・プラスチック・その他各種機能性樹脂の輸出入販売、上記の素材加工及び加工製品の販売、ゴム・プラスチ ック等の製造加工機械及び測定・試験機器の輸出入販売、エラストマー舗装工事仲介。

 


 

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ゴムタイムス2020年10月12日号6面

本文:4929文字

創業100周年記念特集 平泉洋行 三良主義ベースにさらなる発展へ

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