【新年インタビュー】日本ゴム協会 竹中幹人会長

2020年01月08日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

中小企業に向けたサービス充実へ

日本ゴム協会 竹中幹人会長


 日本ゴム協会は3大行事である年次大会やエラストマー討論会、そして夏期講座を開催し、年々参加者も増加している。19年を振り返りながら20年の方針、抱負などを竹中幹人会長に聞いた。

 ◆19年を振り返って。

 19年は協会に若い世代の会員が増えてきた。4~5年前と比べると明らかに伸びてきている。その要因として、アカデミックでゴムを取り扱うための手法が発達してきていることがある。たとえば、東京工業大学の中嶋健教授が(AFM)原子間力顕微鏡ベースに、ナノメートルスケールで定量的な力学計測ができるようになった。また、中性子・ミュオンや放射光などのJ―PARC、SPRing―8などの大型施設を活用したゴムの測定技術が発展してきたことで、今までは困難であったゴムの複雑な多成分により形成される階層構造を厳密に解析することが可能となった。これらの測定技術の発達は、大学での研究の広がりを生み、年次大会やエラストマー討論会での若い学生の参加にも繋がってきているのではないか。また、これらの活用は大学だけでなく、企業も積極的に利用しているため、研究員の学会への参加に繋がっていると思う。

竹中幹人会長

竹中幹人会長

 19年の活動については、3大行事(年次大会とエラストマー討論会、並びに夏期講座)の参加者が前年と比較して増えてきた。特に東海地区で開催された夏季講座は、例年を大幅に超える多くの方に参加していただいた。講演の先生が素晴らしかったこともあるが、学会の皆様も基礎的な勉強が必要と感じているのではないか。

 ◆20年度の方針は。

 中小企業の会員に対するサービスを充実していくことと、国際化に向けての存在意義を高めることとだ。

 日本の産業基盤は中小企業が支えている。そのなかで会員である中小企業に対するサービスが今まで十分にできていなかった。そのサービスを充実させていくことが課題だ。たとえば、中小企業が知りたいことがあるにもかかわらず、わからないままになっていることが多い。知りたいという要求に対して、それに対するサービスを充実させ、応えていくことは学会の発展のためならず、学会の社会的貢献という意味でも必要性を感じる。一方、国際化については日本がアジアでリードできるように、昨年に続き国際化をキーワードに存在意義を海外にアピールしていく。

 ◆20年度の行事は。

 例年通り三大行事を確実に実施し、また協会活動の鍵である13ある研究分科会活動も活発に行っていく。

 19年は事務局機能の強化を挙げた。その内容については、一番目は会員に対するサービスの充実。そのためには、ITなどを活用し効率的に事務を行うことが重要になってくる。

 ◆20年度の抱負

 中小企業の会員増加に対する底上げが一番の目標だ。今まで参加してもらえなかった中小企業の皆様に興味を持ってもらえるように取り組んでいく。そのために協会から情報を提供していくことはもちろんだが、情報を交換できる場を提供しなくてはいけない。中小企業の会員に情報が流れ、相談できるような仕組みを作れたらいい。アカデミックの観点では、ゴムを研究している人以外の人も呼び込みたい。また今まで関係ない分野に人たちにも参加してもらいたい。

■アングル■

 竹中会長は日本ゴム協会の課題のひとつとして、いかに中小企業との横のつながりを作っていくかが重要だと強調する。そのため、協会のなかで会員とのコミュニケーションの強化を行い、外に向けては情報をより発信をしていくことが必要だと捉えている。

 

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