【新年インタビュー】ニッタ 石切山靖順社長

2020年01月07日

ゴムタイムス社

■ 新年インタビュー

新規事業の創設目指す 既存事業はシェア確保へ

ニッタ 石切山靖順社長


 

 昨年11月に新社長に就任した石切山靖順社長に、社長就任の抱負をはじめ、今後の課題や策定中である次期中計の概略などを聞いた。

 ◆新社長就任に際して。

 134年の長い歴史を持つ、またこれまで多くのステークホルダーの方々に信頼をいただいているニッタの社長に就任することは身に余る光栄であり、誠心誠意頑張ろうと決意した。

 前社長の下、一昨年から過去最高という形で業績を伸ばしてきた。その積極的な経営姿勢は踏襲していくつもりだ。中計第3フェーズの数値目標である1000億円の売上目標は引き続き目指していきたい。ただ、1000億円という数字だけが大事だというわけではなく、ガバナンスの効いた企業組織、社会や環境への責任の意識という企業文化など1000億円企業に相応しい企業になっていくことが大事になると考えている。

 ◆次期中計策定について。

 既に昨年10月から、次期中計の策定のための会議を開始している。会議は役員などのメンバーと各事業部から選抜されたプロジェクトメンバーの両輪で進めている。今回は、海外拠点の責任者も初期段階から策定に加わり、グローバルな中計が策定される予定だ。

石切山靖順社長

 ◆今後の課題は。

 既存事業は多くの分野で成熟段階に入っており、パイは大きくならなくとも、エリアを海外に拡大するなどし、シェアは取りに行く取り組みをしなければならない事が一つ目の課題。二つ目は、地政学や環境リスク、規制のリスクなど世界では多方面にリスクが渡っており、ベルト、ホース、化工品の3事業で8割強の売上を占める現状では経営的には不安定になると予想される。そのためにも、100億円規模の売上を目指せる第4、第5の柱となるような事業を作ることが課題となる。具体的には、既存事業である空調事業やデバイス事業などを育てていく事や、ロボットハンド事業やカーボンナノチューブ事業などの新規事業の育成の二つパターンが考えられる。また、浪華ゴムで展開している医療事業も期待が持てる分野となる。3つ目は、ここ最近で3件のM&Aを行い、新しい会社がニッタグループに加わったが、必ずしもニッタイムズが共有されているかといえば、まだ不十分だと考える。横串を刺して共通の認識理念を共有していきたい。当社では改善活動として、QC活動や二分の一運動などを行っており、このような取り組みを通じて同じ社風を共有していきたい。

 ◆ニッタの強みについて

 顧客と深く付き合いをしていく中で、困りごとを引き出す営業力と、そこから出てきた要求に対してコツコツと開発して、製品を提供するカスタム力が強みだと感じている。また、創業者の理念である「発明・改良・円満」の最後の円満。お互いをリスペクトするという考え方が強みになると考えている。

 ◆今後の方針について

 基本的には成長戦略を追い求めていく。常に新しいものを追い求めないと現状維持も難しくなる。新規事業の立上げに注力し、売上を伸長させていく。

■アングル■

 好きな言葉に「神は乗り越えられない試練は与えない」という言葉を挙げた石切山新社長。社長就任に際して、この言葉が決心の後押しになったとのこと。実績は余りないと謙遜するが、クレーム対応だけは真摯に取り組んできたと話す。「実直にフェアでオープンに仕事を進めていきたい。これまでもこの信念でやってきたので、社長になっても変わりはない」新社長の誠実さを垣間見ることができた。

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