活躍するリケジョ 藤倉コンポジット

2019年11月06日

ゴムタイムス社

活躍するリケジョ 藤倉コンポジット
雨森由佳さん

 

 ◆現在、どのような開発をされていますか?

 スマートフォンや携帯電話の充電に特化した非常用の電源となる非常用マグネシウム空気電池の開発を担当しています。

 弊社製品非常用マグネシウム空気電池「WattSatt®(ワットサット)」と非常用モバイル充電器「アクアチャージ®」は、付属されている塩とご使用者様に用意していただく水さえあれば電池ケースの中で混ぜて塩水を作り、その塩水を電池に入れると発電する非常用電源です。塩水を混ぜない限り、電池本体は劣化しないため、使用しない状態で何年も保管しておくことができるのが最大の特長です。

 ◆その開発の中で、どのような分野を担当されていますか?

 発電の効率化やコストカットなどのメカニカルな部分をメインに、試作から量産まで、構造や設計分野に携わっています。ゴムメーカーの展示会などでは「何でゴムメーカーがこのような製品を作ったの」とよく言われますが、マグネシウム空気電池は、実はノウハウが非常にゴムと類似している部分があり、ゴムメーカーならではのノウハウが活かされています。それが、弊社の電池の特長にもなっている所です。

藤倉コンポジットの雨森由佳さん

 ◆現在の仕事のやりがいを教えて下さい。

 製品の小型化はユーザーが使用しやすいというメリットがありますが、ただ単に小さくするだけだと、電池がスマートフォンを充電できる能力まで達しないので、小型化しつつ、どれだけ効率よく発電できるかを見極めることが重要になってきます。能力は維持しつつ、小型化するという、相反する作業のバランスを取ることにやりがいを感じています。また、弊社製品はB to Bがメインですが、「アクアチャージ®」は珍しくB to C製品ですので、店頭で発売されているのを目にしたことがあり、その時は実際に世の中に存在するんだなと実感し、非常に感動した覚えがあります。

 ◆仕事をする上で、心がけていることは。

 開発品はどれだけ早く上市できるかが大事だと思いますので、そこは日頃から心がけてやっています。また、開発において行き詰ったりした時は上司や先輩、後輩に相談し、一人で抱えるということはないようにしています。その相談の際にも、様々な案件を抱えている上司に正確に内容を伝える事ができるように、要点を絞って報告できるように努力しています。

 ◆学生の時、理系に進んだ理由を教えて下さい。

 実は、私は理系ではなく教育学部なんですよ。教育学部の技術科を専攻し、中学の授業などで使用されるイスやスピーカーを制作するなどモノ作りをメインに、技術の授業の演習なども行っていました。

WattSatt®(ワットサット)(右)アクアチャージ®(左)

 

構造では量産する上でいかに工数を減らすために簡易化するかを追求しました

 ◆現在のお仕事を選んだ理由は。

 大学ではモノ作りが楽しいというのを非常に感じました。そこで自分が実際に作る側に回りたいと思い、教師よりも企業に就職することを決意しました。元々私の大学の研究室が、藤倉コンポジットと合同で研究をしていまして、そのご縁もあってお声を掛けていただいたのが理由になります。

 ◆入社されてからの職歴を振り返って下さい。

 入社当時の印象は率直に言うと楽しかったですね。入社して1年間は研修で様々な工場を回らせて頂きました。

 ゴルフクラブのシャフトの製造や、プレス工程もやりましたし、制御機器というゴム部品を使った組み立ても経験しました。

 新人研修は、1年間で会社の大半の事を把握するという意味合いがあると思いますが、研修を通じて、益々面白い会社だと感じることができました。

 研修後は技術開発グループの電池を開発する新燃料技術チームに配属となりました。この部署はまだ発足してまもなく、電気を専門としているような人がいなかったので、電池とは何かという小学生が読むような本から部署の皆で一緒に勉強しました。段々分厚い本になっていくにつれ、楽しさも増していきました。弊社が社名変更したのは、ゴム以外の様々な分野の製品を開発する狙いがあるのですが、私の部署はその第一歩だったのだと思いますね。

藤倉コンポジットの雨森由佳さん

 チームでは電池の性能をどうすれば向上できるかという正極の配合をメインに初期はやらせて頂きました。正極がある程度固まってきた段階で、今度は製品化するために構造化が必要になってきたので、私がそちらにシフトしていきました。

 構造では量産する上で、いかに工数を減らすために簡易化するかを追求しましたが、見た目よりは中身の部分、小さくしても容量を損なわずに100%の力を発揮できるかに一番重点を置いて開発していました。

 

遊ぶときは遊ぶ、やる時はやる、メリハリをつけるようにしています

 ◆今後どのような開発をしていきたいですか?

 1回使い切りの電池ではなく、電池の入れ替えにより、半永久的に使えるような製品を今後は開発していきたいという想いはあります。個人としては知識と技術は常に習得したいと思っていますが、電池は化学が関わってきますので、教育学部卒ということもあり、今後は化学の勉強も積極的にしていきたいと思っています。

藤倉コンポジットの雨森由佳さん

 ◆仕事とプライベートを両立するために心がけていることは。

 遊ぶときは遊ぶ、やる時はやるというメリハリをつけるようにしています。遊ぶために、自分で決めた課題までは、一生懸命仕事をし、課題を終わらせてフレッシュな気持ちで遊ぶことを心がけています。

 ◆お休みの日は何をされていますか。

 趣味は野球観戦です。出身が愛知なので中日ドラゴンズが好きですね。同じ部署にも野球好きの人がいるので、その人と一緒に東京ドームや神宮に行ったりします。運動は走るのが好きです。過去には42・195kmのフルマラソン大会に出たこともありますね。タイムは全然遅かったですけれども楽しかったですね。元々体を動かすのは好きで、学生時代は陸上とかバスケをやってました。大学では1年間だけですが鳥人間コンテストの方もやってました。こちらはサークル発足からどっぷりと携わってまして、発足するための署名集めから、大会出場までほぼ全てを経験しました。

 サークルでは指導者もいないので、みんなで考えてやるという感じでした。より良くするためにはどうすれば良いのかを、自分で考えていかないと何もできないと思うので、この考えるという部分は今に繋がっており、仕事にも役立っていると思います。

藤倉コンポジットの雨森由佳さん

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

本文:2641文字

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