イワカミ 光学機器部品技術を展開

2018年11月15日

ゴムタイムス社

イワカミ 岩上哲也代表取締役会長兼社長

 イワカミが開発するゴム・エラストマー素材は、カメラなどの光学機器用途をはじめ、医療など多岐に渡る分野で使用されています。幾多の困難を「一所懸命に仕事をすれば、何とかなる」と乗り越えてきた、イワカミの岩上哲也代表取締役会長兼社長に、御社の歴史をはじめ、製品の開発、今後のビジョンなどについてお話をうかがいしました。

ものづくりを茨城へ

ー御社の歴史について教えてください。

 1937年に東京都葛飾区で創業しました。創業当時は自動車をはじめ、弱電など一般工業用品なら、何でも作っていましたね。

 私は2代目社長ですが、社長に就任したのが39才のときでした。ちょうどそのころ、東京でものづくりをするには、次第に難しい環境下になってきました。そこで、私の父の郷里が茨城でしたので、1986年に本社は葛飾区に残し、ものづくりの拠点を茨城に移転しました。

 茨城に製造部門を移したのも、つかの間、時代は円高ショックになり、不況の時代を迎えました。その当時は、半年ほど仕事がないくらい大変な時期でした。さらに、為替の影響がようやく落ち着いたと思っていたら、我々のお客様がどんどん海外へ進出していきました。まさに市場が国内から海外へシフトする時代に変わってきました。

 このような状況のなか、会社の方向性をどのようにしていくべきか、悩んでいたところ、カメラの外装部品を作りはじめることが、会社の大きな転機となりました。

下請けからの脱却

光学機器を手掛けるイワカミ

光学機器を手掛けるイワカミ

ーカメラの外装部品の開発について。

 お客様のきっかけで、カメラの外装部品の手掛けることがありました。カメラメーカーとお付き合いがある商社が営業を担当し、技術サポートは当社が行う形で、二人三脚でカメラの外装部品を作っていきました。当初は、材料の開発から、金型の開発、製造機械の扱い方、全ての面に苦労の連続でした。安定して製品を作るまでには数年かかったと思います。市場に出てからは、カメラ業界の需要も増え、他のカメラメーカーにも横展開ができるようになり、会社も徐々に大きくなりました。下請けからの脱却が出来たきっかけは、カメラの外装部品でしたね。

 その後、カメラそのものの進化もあり、外装部品はゴムからゴムライク樹脂のエラストマーに変わってきていますが、付加価値の高い高級機種に関しては、ゴムの素材が使用されています。

 また、カメラの外装部品の技術のノウハウで、今では医療分野にも展開し力を入れています。

人が大切、人が財産

イワカミ 岩上哲也代表取締役会長兼社長ー今後のビジョンは。

 私の父から引き継いでいる経営理念に「人が大切、人が財産」があります。創業時、従業員が30人からスタートしましたが、現在、グループ全体で従業員が700人になりました。全従業員は会社の宝です。これだけの人数になったのも、人を大切にしてきたからではないでしょうか。

 今後のビジョンも、この経営理念は大事にしていきます。正直、時代の変化のスピードの速さには驚いています。ただ、半世紀以上、仕事をしてきて、ひとつだけ行きついた結論があります。それは、単純明快ですが「一生懸命に仕事をしたら、何とかなる」ことです。人は苦労すればするほど、きっとそれを乗り越えるよう神様から言われているんだなというように思っています。

 今後の展開は、カメラなどの光学機器はこれから先も進化していきますが、私たちが携われる仕事が必ずあります。オリジナルブランドの「イワポール」は光学業界で自信をもって提供できる素材です。今後も素材開発や技術開発の向上を目指していきます。

 我々のような中小企業が生き残っていく道は、最終的には、私たちだからこそできるものが重要になってきます。ゴムは序列としては下の方に見られがちですが、逆にいうと、大手企業がなかなか手を出せない分野かもしれない。だからこそ、私たちの生き残る価値があるかもしれないですね。イワカミの強みは、私の父と私のDNAが続いているとすれば、「粘り強く、やり遂げること」だと思います。今後も何事にも粘り強く取り組んでいきます。

価値ある企業に向かって日々前進

イワカミ 岩上哲也代表取締役会長兼社長ー期待する人材について。

 茨城工場に移転した際に、元茨城県知事の岩上二郎氏に「努力」という言葉を書いてもらいましたが、私が好きな言葉は「努力すること」です。最近では、簡単に諦めてしまう人が多いですが、我慢強く、努力できる人にきてもらいたいですね。最終的に努力できる人が成功するのではないでしょうか。そうあってほしいと思います。どこの場所で働いても苦労はあります。こつこつ勉強して、努力できる人がいいですね。

 最後に、会社案内に「価値ある企業に向かって日々前進」という言葉がありますが、時代の変化が激しいなかで、私たちもしっかりと価値企業を目指すべく努力し前進していきます。