【新春トップインタビュー】加藤産商 加藤達男社長

2017年01月16日

ゴムタイムス社

 海外ネットワークの拡充を進めてきた、大手化学品専門商社の加藤産商。「今後は拠点同士を、どう結び付けるかがカギ」と語る加藤達男社長に、16年を振り返ってもらいつつ、現況や今後の営業戦略について尋ねた。

◆16年を振り返って

 前期(16年9月期)は単体で売上高334億3000万円、前期比7・3%減、経常利益は5億3400万円、同5・6%増で減収増益だった。減収の要因は、原材料安が続いたことや、輸出のところで円高により円換算後の売上が目減りしたこと。増益については、営業外収益が発生したことが主な要因だった。

 グループ全体の売上高は452億500万円、同7・2%減だった。ほぼ全ての海外の各拠点で、現地通貨建では増収だったが、円高によって円換算後に売上が目減りした。

◆海外拠点の状況は

 北米は自動車関連、特に大型車の販売が好調で、現地の生産も伸びた。

 タイは非自動車関連の取引も多く、自動車減産の影響はさほど受けなかった。インドネシアは自動車関連がメインだが、今まで悪い状態が続いていたところが、ようやく上向いてきた。開設して日が浅いメキシコとベトナムは、前年より伸びている。マレーシアはリンギット安の影響で製造会社よりも商社部門が振るわなかった。
 中国は、ゴム練りを中心に比較的堅調に推移した。建機向は在庫整理が進んで、後半から少しずつよくなっている。

◆国内の需要動向と17年度の見通しは

 去年9月まで為替が102円前後だったので、輸出にとっては厳しかった。関東地区の自動車メーカーもその頃までは振るわなかったが、現在は回復しており、ORタイヤの生産も増えている。ゴムの消費全体が上がってきていると感じる。

 関連会社の埼光ゴムは、色ものの練りは堅調だったが、黒ものは落ちて、5~7%の減少。粉末硫黄製造の鶴見化学も9月以降は戻ってきたが、それ以前は振るわなかった。

 足もとの[/hidepost]動向としては、17年9月期の第1四半期(10~12月)は堅調で、前年同期実績を上回る流れ。

 通期についても前期を上回る見込みで、一昨年のレベルまで戻すことを目標にしている。

◆今年の海外の見通しと課題について

 北米はここ数年、好調が持続している。米国メーカーとの取引数量も増えてきており、今年は北米の優れた商品を、アジアや日本にもっと紹介したい。

 アジアについては、自動車のメイン拠点で競争の激しいタイに、原材料を含めて競争力のある製品を、国外からどれだけ持っていけるかがポイント。

 海外の拠点については、欧州を除いてほぼ作り終えたので、今後は拠点同士を結び付けていく段階になる。アジアでは、現地の持ち回りで拠点の代表者が集まり、顧客のニーズや関税などの情報交換を定期的に行っている。

 その他、海外拠点の営業力を高めるため、現地の能力ある人材を採用していきたい。

◆国内の課題と事業戦略

 去年12月から営業本部の担当を明確化した。今後は相談窓口的な役割を高め、有機的に動こうと考えている。

 国内化学メーカーも統合が進み、今後はさらに収益力のある商品しか扱わない傾向が強まるだろう。その中でどの商品がユーザーの要望に合っているか、選択を間違えないように判断しなければならない。

 その中で、例えば農業分野や排水処理関係など、環境対応製品にも注力していきたい。

◆17年の抱負は

 同じことばかりやっていても伸びない。ニーズを的確に素早く捉えて、いい商品、お客様が欲しがる商品を見つける目を養うことが大事。より明確な目的を持って仕事を進めたいと考えている。

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