【新春トップインタビュー】北星ゴム工業 米屋慎一社長

2017年01月04日

ゴムタイムス社

 18年度に売上高80億円の目標を掲げて、3ヵ年計画を推進中の北星ゴム工業。陣頭指揮を執る米屋社長に16年を振り返ってもらうとともに、海外事業の現況や、2年目の折り返し地点を過ぎた中計の進捗状況、今後の課題について聞いた。

◆16年度を振り返って

 16年7月期は、売上高が77億2000万円で前期比4・5%減となった。中国向けの自動車用部品の加工を全て現地化したことや、熊本地震などによる自動車生産ライン停止の影響を受けた。

 一方、利益面は、原材料価格が低位で安定していたことと、社内合理化が進んだことなどから、減収増益の決算だった。

◆足元の動向と通期見通しについて

 17年7月期上半期は、前年同期比2%増で推移している。最近はスポンジとソリッドの2層成型押出品の受注が、自動車分野、建築分野どちらも好調で、通期計画では前期並みを予想していたが、この流れだと若干の上澄みも期待できる。

◆海外事業の動向は

 当社の対中国施策はうまく進んでいると思う。現在、中国向け自動車部品は、押出素材を国内で生産して中国の2拠点(上海、東莞)で加工。生産性や行程内不良の管理も現地で行っている。当社からは出張ベースで対応し、その都度、困りごとがあれば是正している。

 この2拠点をアイテムごとに有効活用しながら、新シリーズの受注にも努めていきたい。

◆人手不足について

 当社の一番の課題が人手不足。おそらく、ものづくりをするメーカーはどこも同じ問題を抱えており、地方ではそれが如実に表れている。以前からあった問題が徐々に加速し、自分の予想より5年ほど前倒しして今の状況になった。
 今年から外国人技能実習生制度の期間が延長されるため、それを利用して人員の確保をするなど、テコ入れを考えている。

◆今後期待する市場は

 2020年までは、東京では体育館や選手村などのオリンピック需要のほか、建て替え需要も堅調だろう。
 14年に市場に投入した「ハイブリッド型ジッパーガスケット」が、コンスタントに動いている。今年は、東京ワールドゲート(虎ノ門四丁目プロジェクト)の「虎ノ門トラストタワー」に採用が決定し、秋頃から納入が始まる予定だ。

 オリンピック以後については、高層ビルも老朽化しており、再開発が極端に少なくなるとは思っていない。東京の建て替え需要は今後も続くと見ている。

 自動車部品については、図面を支給されて納める場合と、自社のコア技術を使う場合の2種類がある。双方ともバランスよく拡販に努めたい。

◆今後の課題について

 原材料費はしばらく安定していたが、為替やOPECの原油減産合意など、先行きが不透明になってきた。この流れだと、春頃には原材料費が上がる局面になりそうだが、その時にしっかり対応できるよう、社内を引き締め、生産性の向上を含めた合理化を進めていく。

 人手不足については、労働人口がシュリンクする中で好転する見込みは少ないが、中計で18年度に売上高80億円という目標がある。今の人員をキープしながら売上規模を伸ばすには、内製と外製の比率を変えて、空いた設備と人員で新しい仕事を増やす他ない。

 今後は外製を増やし、2020年までに内・外製比率を6対4まで持っていくのが目標だ。それと並行して省力化、自動化設備の開発と導入を進めて、成長につなげていく。老朽化設備の改修はほぼ終えているので、今後は省力化、自動化に力を入れていきたい。

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