由良製作所 創立50周年 創業者精神を忠実に継承

2018年01月09日

ゴムタイムス社

由良製作所 創立50周年 創業者精神を忠実に継承

 

付加価値の高い製品を作る
池森義明社長に聞く

 ㈱由良製作所(東京都葛飾区、池森義明社長)は11月に創立50周年を迎えた。IoT化を進め、最先端の金型製造システムを構築した池森社長に、これまでの歩みを振り返ってもらいつつ、今後について聞いた。

池森義明社長 ◆50周年を迎えて。
 長いようで短いような50年だったと言える。それは、ここ20年ほどの世の中の動きが早いためだ。
 かつては職人さんが腕を磨き、自分の技量で金型を作っていた。しかし、現在は取引先の要求する精度やスピードが格段に向上してきたことで、型構造はさらに複雑になりより合理的で緻密なデータの作成が重要で、金型メーカーの設計力が大きく左右する時代に変わった。
 現在は4人で金型設計・加工データ作成を行い、7台の高速マシニングセンターを始めとする充実した機械設備で効率的な生産を行っている。最初に設定してしまえば、あとはデータを流すだけなので、夜間休日も機械が無人で稼働している。さらに最近、機械設備の稼働状況をスマホやパソコンで確認できるソフトを導入した。「工場の見える化」を実現したことで、装置の様々なデータを活用できるようになり、社員の仕事への意識も今まで以上に高まった。

 ◆システムの構築が大変だったのでは。
 いい出会いに恵まれたことが大きい。2002年に知人の紹介で知り合ったコンサルタントの吉田修氏と、二人三脚で改善を進めた。
 改善のプロジェクト名は「さくっと21」①何をやらせても「さくっとこなす」②21世紀にわたって金型屋として存在感のある会社になる③短工期実現と品質向上④生産効率の30%アップを実現―を目標に掲げ、何ごとも数値で評価する体質へ変化することから始めた。最初に、1つの型の作製に要していた工程をすべて紙に書き出し、所要時間や成果などの数字を挙げて、むだな工程やコストを洗い出した。
 次に、3次元の複雑な形状をデータベース化し、職人の暗黙知だった「感覚」を数値化。寸法の測りかたなども統一して基準数値を定め、設計者がその数値で切削機械に直接指示できるようにした。

 ◆製品で多いのは。
 難しいものや新規のもの、比較的大型のものが増えている。このため、6割ほどが付加価値の高い製品となる。
 取引先も業務拡大により今までやったことのない仕事を取りに行っているため、どうしても分からないところがある。想定を超える依頼が来たと相談される機会が増えているが
 当社は自動車関連を中心に、広範囲に金型を製作してきた経験から、様々な提案をより具体的に行うことができそれが取引先の受注率の向上にも繋がっている。

 ◆今後は。
 取引先によく言われるのは、当社の金型は成形が終わった後の手間がかからないということだ。
 同業他社型と比較して最後の手離れがいい当社製の金型を使うようにと、ゴムメーカーから外注先に依頼があるとも聞いている。
 今後もそうした独自性を大切にしつつ、付加価値の高い製品を作っていければと考えている。

 


 

工場の見える化実現
金型にIOTを導入

金型にIOTを導入 ゴム金型の中でも難易度が高い、複雑形状の3次元ゴム金型製造を得意としている由良製作所(東京都葛飾区、池森義明社長)はこのほど、機械設備の稼働状況をスマホやパソコンで確認できるソフトを導入した。

 当初の目的は、夜間・週末に機械にトラブルが発生した際、誰もが状況を把握できるようにアラームをメールで送信することだった。
 しかし、IOTの最大のメリットである「工場の見える化」を実現したことで、装置の様々なデータを活用できることが分かった上、社員の仕事への意識が今まで以上に高まったという、大きな成果も得ることができた。
 同社は高い技術に加え、短納期も強みとしている。それを実現するには、夜間・週末に機械をフル稼働させる必要がある。しかし、過去に金曜日の終業時に工作機械を稼働させ、月曜日に社員が出社すると、加工の初期段階でトラブルが発生して機械が停止し、加工が中断したままということがあった。また、何十本も連続してセットすると、問題なく製造できているのか不安になり、休日に社員が見に来ることも度々あった。こうしたトラブルや社員の心理的な負担を軽減するため、同社ではまず工場が無人の時に機械から発せられるアラームを、誰もがメールで受信できるシステムを導入することにした。
 ソフトメーカーに相談したところ、装置全体の稼働状況を把握でき、その機能の1つとしてアラームが出たらメールを送信するソフトがあることを知り、導入することにした。
 このソフトには高速加工機7台のうち6台が連結しており、現在、様々なデータを収集して、その活用法を探っているところだ。例えば、主軸が劣化したり異常があったりすると、回転している主軸の負荷の数値が変化する。そうした数値が表れた時、早めにメーカーに点検してもらえば、機械の停止が避られるようになるだろう。
 あるいは、機械が故障した時に、その前の1~2週間のデータを調べることで、機械に起因するものなのか、オペレーターのミスによるものなのか、原因を究明することができると考えられる。さらには、稼働状況のデータも得られるので、ある機械の停止時間が長ければ、人員の配置を見直すことも可能になる見込みだ。
 このように、ソフトを入れたことにより、工場全体の効率化が図れることが分かったが、それと同程度に同社が手応えを感じているのは、社員の意識が今まで以上に向上したことである。
 特に、スマホでデータを見られるようにしたことで、社員は休日や夜間でも、仕事としてではなく、ゲーム感覚で機械の稼働状況をチェックするようになった。
 この結果、機械が停止しているのを知らずに休日明けに出社する、というようなことはなくなった。しかも、メーカーには休日も連絡が付くので、知った時点で電話を1本かけておくことで、メーカーの素早い対応も可能になった。同社では、さらにスマホで操作できる監視カメラと照明を工場内に設置し、機械の状況をデータだけでなく、ビジュアルでも見られるようにした。社員はこのようにハイテク化が進んだ会社にいることに、喜びを感じているという。「口で意識を変えろと言っても難しい。会社がインフラを底上げしないと意識は向上しない」と同社では話している。
 このような取り組みは、リクルートでも効果を発揮することが見込まれる。人手不足の中で、若くていい人材を採用するためには、ハイテク化した魅力的な企業だと、応募者の目に映ることが重要だと同社では考えているからだ。
 今後はさらなる改善について、管理職が検討するのではなく、ベテラン以上にソフトへの関心が高い若手を中心に提案してもらえるようになることを期待している。

 


 

 

創業者として
『共創力』に基づき、人の和を大切に

 昭和41年5月、葛飾区白鳥1丁目にて「由良製作所」創業。以来30余年、この業界では異色の営業畑出身の経営者だったことから、常にお客様目線に立ち作業効率の良い金型作りを徹底していた。バブル崩壊後の長引く不況、そして平成3年には脳梗塞による入院と試練が続く中で、今日の時代が必ず到来する事を予見し当時いち早くCAD/CAM、高速機の導入に踏み切った。
 常に前を見つめ、仕事には、厳しく頑固であった反面、周囲には細かい気配りを怠らないまさにたたき上げの経営者だった。

 

 


 

~50周年の歩み 沿革~

◆昭和42年5月 東京都葛飾区白鳥1-11-11に於いて由良製作所創業
◆昭和43年11月 同上に於いて株式会社由良製作所設立資本金100万円
◆昭和49年6月 資本金200万円増資、300万円になる
◆昭和53年 業務拡大に伴い葛飾区白鳥1-11-11から葛飾区白鳥4-14-5へ工場移転
◆昭和58年12月 葛飾区青戸1-10-15へ本社移転
◆昭和59年7月 資本金700万円増資、1000万円になる
◆昭和62年9月 第1期工場拡張工事完了 369m2
◆平成4年3月 工場隣接地205.15m2を購入、敷地合計451.19m2
◆平成5年5月 資本金1000万円増資、2000万円になる
◆平成13年8月 第2期工場拡張工事完了 450m2
◆平成16年9月 東京都葛飾区白鳥4-14-5に本社移転
◆平成17年11月 資本金500万円増資、2500万円に

 


 

由良製作所 機械設備一覧

 

本文:3487文字

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