受講可能な形式
趣旨
核磁気共鳴(NMR)法は高分子の分析になくてはならない重要な方法の一つで今なお発展し続けており,関連知識の獲得は際限なく且つそのレベルは決して低くありません。スキルアップに不安や戸惑いを抱える人もいることでしょう。NMR法の利点を語る一つの表現として,“分光学的手法の中では最も低周波の電磁波であるラジオ波を用いるので,そのデータには分子の様々な情報が反映される。したがって,たくさんの分析情報を引き出せる手法である。”と覚え,NMRにかかわる多種多様な知識をどん欲に吸収して参りたい。
本講演では、NMR法による高分子材料分析の基礎知識から最新テクニックの紹介までをわかり易く解説します。高分子材料を分析対象としますので,高分子化合物に特徴的な「構造の階層性」を常に念頭に置きながら話を進めます。分析業務でお悩みの方から素材開発に携わっている方まで,なにかと役立つトピックスをできるだけ実施例を交えて紹介します。
○受講対象:
常時NMR分析に携わっている方から,NMR法に少しでもご興味のある方や高分子素材の分析・評価・開発などに関わっている方まで。
○受講後、習得できること:
・NMR測定を行う上での重要事項や条件設定に関するノウハウの基礎知識
・NMRスペクトルチャートの見方と解析方法に関する基礎知識
・高分子材料の構造には静的構造と動的構造があること
・高分子材料の構造特性と物性との相関に関する基礎知識
受講対象者
| 日時 | 2016年1月20日10:30~16:30 |
|---|---|
| 講師 | 名古屋工業大学 大学院工学研究科(物質工学専攻・有機分野) 准教授 工学博士 吉水 広明 |
| 講師略歴 | |
| 受講料 | 1名46,440円(税込(消費税8%)、資料・昼食付) *1社2名以上同時申込の場合、1名につき35,640円 *学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。 |
| 会場 | WEBセミナー(ZOOM) |
| 主催会社 | 情報機構 |
| 配布方法 | |
| お申込み |
プログラム
1.機器分析におけるNMR法の位置付けについて
1)分光学的手法の分類とNMR
2)いろいろなNMR法
3)NMR法で得られる実験データとそこからわかることの概観
2.高分子の階層構造について
1)一次構造(化学構造,立体規則性,共重合組成,分子量と分子量分布)
2)二次構造(コンホメーション)
3)高次構造(結晶構造,結晶化度,凝集構造)
3.NMR法の原理―はじめに知っておきたいこと
1)核スピンとは?
2)共鳴条件
3)自由減衰振動(FID)とフーリエ変換
4)化学シフト値
5)核間相互作用(二重共鳴法と分裂パターン)
4.溶液NMR法で一次構造解析(化学構造の決定)をする
1)化学シフト値と積分強度
2)分裂パターンと化学結合ネットワーク
3)各種2次元NMR法の活用
4)溶液NMR用プローブ(NMR信号検出器)の種類と特長
5.固体NMR法で二次および高次構造解析(凝集構造と分子運動の決定)をする
1)固体NMR用プローブ(NMR信号検出器)の種類と特長
2)化学シフト値と高次構造
3)双極子相互作用と高出力デカップリング
4)マジック角高速回転(MAS)
5)交差分極(CP)法
6)各種緩和時間
7)動的構造解析
8)スピン拡散とモルホロジー解析
9)化学シフト異方性と配向構造の解析
6. 様々な高分子の測定・解析(解釈)テクニック
1)立体規則性(タクティシティー)解析
2)共重合体組成・配列の解析
3)分子量・分子量分布の解析
4)結晶構造の解析
5)結晶化度の推定法
6)ポリマーブレンドにおける相溶性評価
7)ポリマーブレンド等におけるモルホロジー評価
8)局所分子運動の解析
9)材料中における異分子の存在状態・拡散性の評価
10)ガラス状態の自由体積部分に関する評価
11)複合材料の解析
12)非破壊イメージング観察
<質疑応答>
注意事項
セミナーの録画・撮影・テキストの複製は固くお断り致します。本セミナーはビデオ会議ツール「Zoom」を使ったライブ配信対応セミナーとなります。
Zoom(ズーム)のやり方などでお困りの方は、セミナー当日までに設定や使い方をご指導致します。