東京商工リサーチ、「返済猶予」利用後の倒産が急増

2011年09月20日

ゴムタイムス社

東京商工リサーチは、2011年1~8月に「返済猶予」を利用した企業の倒産動向を調査してまとめた。

  中小企業金融円滑化法に基づく返済猶予を利用したにもかかわらず、倒産に至るケースが7月、8月と急増し、今年は8月までの累計件数が前年同期より3.5倍に急増した。

また3月に取扱いを終了した「景気対応緊急保証制度」の利用後の倒産も前年同期より約2倍に増加し、金融支援の政策効果が薄れつつあることをうかがわせた。

 2011年1月~8月における中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法と略す)に基づく返済猶予利用後の倒産件数は、前年同期比250.0%増の84件(前年同期24件)と急増ぶりが目立つ。

 9月もすでに6件発生し9月14日現在で累計90件に達した。 また負債総額は、同286.6%増の656億8,800万円(前年同期169億8,700万円)にのぼった。

 これは負債10億円以上の大型倒産が14件(前年同期5件)と約3倍に増えたことによる。

 産業別では、建設業が27件(構成比32.1%)で最も多く全体の3割を占めた。次に卸売業21件、製造業14件、サービス業他8件、小売業7件、運輸業5件、情報通信業2件の順だった。

 さらに細かな業種別では、総合工事業の13件を筆頭にして、職別工事業9件、飲食料品卸売7件、機械器具卸売5件、設備工事業5件と続く。

 円滑化法に基づく返済猶予を利用した企業で、東日本大震災による取引先の被災や資材・商品不足、消費自粛による売上減少などが影響した「震災関連」倒産は17件発生した。このように7月、8月と円滑化法に基づく返済猶予を利用した企業の震災関連倒産が増勢し、震災の影響が業績回復の足かせとなったことがうかがえる。

 形態別では、破産が41件(構成比48.8%)で約半数を占め、厳しい経営環境を浮き彫りにした。次に銀行取引停止処分30件、民事再生法12件、特別清算1件となった。

 また原因別では、販売不振が53件と最多だった。

 また円滑化法に基く返済猶予と並んで、有効な中小企業の金融支援策であった「景気対応緊急保証制度」は、2008年10月31日に開始され、保証枠も30兆円から36兆円に拡充し、取扱いを終了した2011年3月まで倒産抑制に大きな効果を発揮した。しかし、2011年1月~8月の「景気対応緊急保証制度」を利用した企業の倒産は、前年同期比72.9%増の83件(前年同期48件)となり増加が目立つ。9月もすでに7件発生し9月14日現在で累計90件に達した。

 

 

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