東海カーボンの第3四半期決算 操業度低下で2ケタ減益

2013年11月07日

ゴムタイムス社

 東海カーボンの2013年12月期第3四半期連結決算は、売上高は前年同期比1・1%減の750億2900万円となった。営業利益は同75・3%減の13億4500万円、経常利益は同55・2%減の25億3000万円となり、四半期純利益は同61・6%減の13億1200万円。
 同社グループの対面業界であるゴム製品、鉄鋼、情報技術関連、産業機械などの各業界においては、自動車関連分野では総じて需要に回復傾向が見られたが、他の分野では回復に遅れが見られた。 損益面においては、各種経費の全面的な削減、一時休業の実施と雇用調整助成金の受給などの対策に取り組んだが、販売数量減に対応した操業度の低下と設備増設に伴う減価償却費の増加などの影響が大きく、減益となった。
 カーボンブラック事業部門は、国内ではタイヤ生産が年初の落ち込みから回復基調をたどったことなどから、需要は徐々に回復。タイではタイヤ生産の伸長を背景に需要は増加した。また、中国では日系自動車メーカーの新車販売も回復を遂げた。一方、昨年6月から石巻工場が全面的に生産を再開し、タイの子会社も昨年12月から増設設備の稼働を開始しているが、国内ならびにタイの市場において安価な中国製品の台頭による影響を受け、販売数量は前年同期比わずかな増加にとどまった。また、販売価格については原料油価格の上昇に対する改定を実施した。結果、同事業部門の売上高は円安効果も受け、同5・2%増の330億5100万円となったが、営業利益は操業度低下や設備増設に伴う減価償却費の増加などにより同62・0%減の14億9600万円となった。
 炭素・セラミックス事業部門の黒鉛電極は、世界粗鋼生産は中国、インドなどでの増加により前年同期の水準を上回ったが、黒鉛電極の販売数量は日本国内をはじめ欧米、韓国などの主たる需要先での需要回復の遅れなどから前年同期比減少した。また、販売価格についても国内外とも弱含みで推移。結果、円安効果は受けたものの、黒鉛電極の売上高は同5・0%減の225億9800万円となった。ファインカーボンの半導体用は、一部の用途で回復の遅れは見られたものの、全体としては回復基調で推移。太陽電池用は海外での回復が遅れ、総じて低調に推移した。また、昨年後半に減少した一般産業用は年初より堅調を維持。結果、円安効果は受けたものの、ファインカーボンの売上高は同14・6%減の92億3400万円となった。以上により、同事業部門の売上高は同8・0%減の318億3200万円となり、営業利益は操業度の低下などにより同74・3%減の6億300万円となった。
 工業炉および関連製品事業部門は、主な需要先である情報技術関連業界では一部に回復の兆しは見られたものの、全体としては設備投資抑制が続き、主力製品である工業炉の売上高は前年同期比減少した。また、ガラス業界、電子部品業界の回復により発熱体その他の売上高は前年同期比増加したものの、本格的な需要の回復までには至らなかった。結果、同事業部門の売上高は同2・9%減の30億2500万円となり、営業利益は同40・5%増の2億1200万円となった。
 その他事業部門の摩擦材では、主な需要先である建設機械業界向けは、世界的な資源価格下落の影響を受けた鉱山機械用途の大幅な需要減により販売が減少した。この結果、農業機械向けは北米市場好調の影響を受け販売が増加したものの、摩擦材の売上高は同3・6%減の60億200万円となった。不動産賃貸等その他の売上高はリチウムイオン二次電池用負極材の販売が増加したことにより同126・6%増の11億1600万円となった。結果、同事業部門の売上高は同5・9%増の71億1900万円となり、損益面においては、摩擦材の収益悪化などにより1億1800万円の営業損失(前年同期は6万円の営業利益)となった。
 通期の連結業績予想は、直近に公表されている業績予想からの修正はなく、売上高は1040億円で前期比5・4%増、営業利益は23億円で同59・7%減、経常利益は35億円で同45・9%減、純利益は19億円で同4・7%減を見込んでいる。

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