セイコーインスツル リチウムイオン電池用 X線異物検査装置を開発

2011年08月30日

ゴムタイムス社

 

X線異物検査装置外観(プロトタイプ)

 セイコーインスツル㈱の100%子会社で計測分析装置の製造販売を行っているエスアイアイ・ナノテクノロジー㈱(SIIナノテク)は、リチウムイオン二次電池や燃料電池の電極中に混入する可能性のある20μm級の微小な金属異物を数分という高速で検出し、元素分析も自動で行う検査装置の開発に成功した。

 リチウムイオン2次電池や燃料電池への金属異物の混入は、電池の歩留まりおよび寿命を低下させる大きな要因となる。とくにリチウムイオン二次電池では発熱の原因となり、最悪の場合は発火の可能性もある。近年、電気自動車・ハイブリッド自動車および住宅用への採用に伴う電池の大型化により、金属異物の混入を防止する重要度が増しているという。

 金属異物の解析は、従来は不良電池を解体し、X線透過検査装置や顕微鏡によって金属異物の存在箇所を検出し、走査電子顕微鏡や蛍光X線分析装置などで対象となる元素を特定することで混入経路を推測するといった故障解析が行われてきた。しかし、これらの手法では検出が困難であり、かつ検出時間に膨大な時間がかかっていた。また、検出箇所を見失うという課題もあった。

 SIIナノテクではX線透過による金属異物の検出と、蛍光X線による元素分析の2つの技術を融合し、20μm程度の微小な金属異物も検出・分析可能なX線異物検査装置を世界で初めて開発した。

 同装置に試料となる電極板やセパレータ、容器に入れた活物質をセットして、検査手順の選択後、測定を開始するだけで、X線透過像の撮像から、金属異物の検出、その元素分析までを自動で実行。解析結果として、試料中の金属異物の個数と個々の異物の組成、およそのサイズ、顕微鏡観察像が出力される。これらは前処理不要、完全自動なので、簡単に故障解析・抜き取り検査が実施できる。

 同社は試作機を9月7日から9日まで開催される国内最大の分析機器の展示会「分析展/科学機器展2011」(幕張メッセ)に出品する。

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