帝人 炭素繊維複合材料製品をブランド展開

2013年10月17日

ゴムタイムス社

 帝人は15日、現在事業化に向けて研究開発を進めている熱可塑性樹脂を使用した炭素繊維複合材料(CFRTP)の製品ブランドを「Sereebo(セリーボ)」と決定したと発表した。今後、積極的に市場展開していく。
 同社は2008年7月、静岡県御殿場市に複合材料開発センターを開設し、CFRTPの研究開発を進めてきた。2011年3月には、世界に先駆けて開発した、熱可塑性樹脂を使用した3種類の中間材料(等方性基材、一方向性基材、LFT)とその成形技術により、CFRTPによるコンポジット製品をタクトタイム1分で成形する量産技術を確立している。
 また、その技術と独自の炭素繊維複合材料接合技術とを活用し、極限まで車体骨格を軽量化したオールCFRTPのコンセプトカーも製作しており、こうした取り組みを通じ、技術の実用性を訴求し、新たなマーケットの開拓を進めてきた。
 その結果、2011年12月にスタートした米国ゼネラルモーターズとの共同開発をはじめ、国内外の複数の自動車メーカーとの間で取り組みを加速している。2012年4月には、米国に「Teijin Advanced Composites America Inc.」を設立し、CFRTPの用途開発と北米における市場開拓を推進している。また、同年12月には、松山事業所において「炭素繊維からコンポジット製品の成形加工までを連続一貫生産するパイロットプラント」が稼働を開始し、今年5月には、同じ松山事業所内に複合材料開発センターを移転し、CFRTP製品の事業化を加速している。
 「Sereebo」は、「Save the earth,revolutionary&evolutionary carbon」の略で、地球環境に配慮し、モノづくりの現場に新たな革命を起こすことができるCFRTP製品を意味しており、強度と軽量化に加え、1分のタクトタイムを実現できる革新的な製造スピードにより、従来の炭素繊維複合材料では成し得なかった「量産性」および「易リサイクル性」を併せ持つCFRTP製品として、量産型自動車をはじめとする工業製品の軽薄短小化を劇的に加速する製品ブランド。
 また「Sereebo」は、熱可塑性樹脂を用いた新規開発材料で製造されたCFRTP製品で、炭素繊維の繊維長や配向の違いによる次の3つのタイプの材料で製造される。
 Uシリーズは、長繊維炭素繊維を使用し、特定方向に対して高い強度が要求される部位や製品などへの使用に適した材料で、Ⅰシリーズは、炭素繊維をランダムに分散させているため、あらゆる方向に対して強度が等しく、形状自由度と材料設計自由度の高い多用途に適用可能な材料。Pシリーズは、複雑形状の部位や製品に適した高強度の射出成形用材料で、「Sereebo」のリサイクル展開を可能にする技術として広く活用することができる。これらの材料は適宜組み合わせることが可能。
 今後の展開は、CFRTP製品のブランドとして「Sereebo」を広く訴求し、市場浸透を推進することにより、CFRTP製品事業の早期拡大を図っていく。また、今後急成長が予想される自動車用途および一般産業用途におけるマーケット開拓を強力に推進し、早期にコンポジット製品事業を本格展開する。2020年近傍には1500~2000億円の事業規模を目指し、コンポジット製品事業におけるリーディングカンパニーの地位を確立していく方針。

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