やさしいタイヤ材料のはなし その③

2013年10月10日

ゴムタイムス社

空気入りタイヤから見るタイヤの進化

 ゴム分子鎖の動きを抑える方法としては、ほかに架橋密度を上げたり、扁平な形状の充填剤を配合する方法があり、空気を漏れにくくすることができるのです。一方で、オイルや可塑剤を配合するとゴム分子鎖が動きやすくなるため、空気が漏れやすくなります。因みに、気体が高分子材料を透過する性質を気体透過係数で表わし、ブチルゴムにおける窒素分子及び酸素分子の気体透過係数は天然ゴムのおよそ20分の1程度と低い値を示します。また、気体透過性は気体の種類によっても変わり、ブチルゴム中における窒素の気体透過係数は酸素の4分の1と低く、窒素ガスを充填したタイヤの空気が抜けにくいのも気体透過性の違いに依ります。
 少し横道にそれますが、インナーライナーのように、気体透過性を制御する技術は気体分離膜及び食品包装用フィルムなど他の分野でも使われています。気体分離膜としては、シリコーンゴムの原料でもあるポリジメチルシロキサンが酸素冨化膜として知られており空気中では21%の比率である酸素を30%まで濃縮できるといいます。一方、食品包装用途では空気中の酸素が包装を透過して食品を劣化させるのを防ぐことが重要です。酸素が透過しにくいという点で、ポリビニルアルコールはたいへん優れています。ブチルゴムは嵩高いメチル基の立体障害でゴム分子鎖を動きにくくしていることは既に説明しましたが、ポリビニルアルコールの場合は水素結合によって分子鎖間に疑似架橋を作ることにより、分子鎖の動きを抑えることによって酸素の侵入を低く抑えているのです。しかし、ポリビニルアルコールには空気中の水分の侵入でこの疑似架橋が減少し、性能を低下させる欠点があります。そこで、実際にはポリビニルアルコール単独で使うのではなく、ポリエチレンなどの水分を通しにくい材料と貼り合わせて使われます。また、シリカ及びアルミナでPET(ポリエステル)フィルムの表面をコーティングするという別の技術を応用した食品包装材も使われています。

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