住友ゴム ブラジル工場稼働

2013年10月07日

ゴムタイムス社

 

15年末に年産1万5千本 3日現地で開所式

 住友ゴム工業は3日、ブラジル工場の開所式を建設地のパラナ州ファゼンダ・リオ・グランデ市で実施、同日から本格稼働をスタートした。ブラジル工場は中国・湖南工場に続く9番目のタイヤ工場となる。同社は日本、インドネシア、タイ、中国に既に生産拠点を有しているが、アジア圏外での工場設置は初。急増している自動車生産に合わせ、タイヤ需要が拡大する中南米市場の成長を取り込むための重要な拠点となる。

 午前11時から開始された開所式には、住友ゴムの池田育嗣社長、Sumitomo Rubber do Brasilの小田一平社長、パラナ州知事をはじめとした現地州・市関係者、クリチバ日本国総領事、ひょうご産業活性化センター理事長、政府関係者など総勢約460名が出席した。
 式典冒頭、池田社長、小田社長ら3名で工場機械の作動スイッチを同時に押す開所セレモニーがあり、その後、ブラジル国歌が流され、来賓の紹介、あいさつが行われた。池田社長は「ここクリチバはブラジル国内でも有数な自動車産業の集積地であり、また陸海の交通の要衝でもあります。この地理的有利さに加えて、パラナ州政府、ファゼンダ・リオ・グランデ市からの協力サポート、また、パラナ州と兵庫県の密接なつながりなどを背景に、ブラジル工場は当社グローバル戦略上極めて重要な拠点となりました。この中南米市場に、当工場で製造したタイヤを供給していくことが、住友ゴムにとって非常に重要となり、そのためにも当工場をさらに成長させていきたいと考えています。それがブラジルやパラナ州の経済発展に寄与できるものと確信しております」とあいさつした。その後、来賓らによる鏡開きが行われ、和太鼓奏者による演奏で開所式は締めくくられた。
 セレモニーに先立ち、午前8時30分から開催されたプレス向けの記者会見で池田社長は、「2020年時点の中南米タイヤ市場は1億5千万本となり、ロシア、中近東、アフリカ、インド、中南米の5つの新興国エリアで最大となる見通し。ブラジルのタイヤ総需要本数は6800万本になると予測している。ブラジル工場の完成により、中南米地域における生産販売体制の更なる強化を図ることができ、住友ゴムのグローバル成長戦略に大きく寄与すると期待している」とブラジル工場の重要性について言及した。
 ブラジル工場の生産品目は自動車用ラジアルタイヤ。生産能力は13年末に日産2千本、14年末に日産8千本、15年末には日産1万5千本までに順次拡大していく」(小田社長)としている。
 生産設備には、高精度と高性能を追求し、材料行程と成形行程を一体化させた自動化、小型化生産方式「太陽」を導入。投資額は約7億5000万レアル(約353億円)。13年9月時点の資本金は6億レアル(約282億円)。敷地面積50万平方メートルのうち建屋面積は6万5千平方メートル。クリチバに工場を決めた理由については「最終的には5つ程候補地があったが、兵庫県とパナマ州の関係による兵庫県のサポートが大きかった。知らない所に出て行くので、兵庫県関係の協力が得られることが決め手となった」(池田社長)という。ブラジル工場稼働により、現地生産によるコスト低減が可能となり、同社では中南米における生産販売体制をさらに強化していく。

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