十人十色の事業承継 第9回

2013年08月31日

ゴムタイムス社

 事業承継者が居ない場合でも、立派な事業承継が出来る-3 

 今回は、廃業して会社の敷地を全く違う事業に利用する例についてお話したいと思います。
 会社の跡地に賃貸住宅を建てるのはよくある例です。勿論、自己資金が有ればそれに越したことは有りませんが、金融機関からの借り入れをしても、土地の利便性次第では十分な利回りが得られる場合が多々あります。
 近来、事業用賃貸物件の売買が盛んに行われており、土地まで取得しても一般的に5~7%位の利回りが有るわけですから、土地代が掛からないということはそれ以上の収益を生むことが出来るはずです。
 もし、会社の敷地がある程度以上の大きさであれば、会社の跡地に収益物件をデベロッパーと一緒に建てるという方法も有ります。このようにすれば、資金無しで賃貸物件を建てることも可能です。こちらの所有に属する建物の建築費分の土地をデベロッパーに渡せば良いのです。これを、「立体買い換え」と言います。
 つまり、土地の一部をデベロッパーに渡してその代わり収益物件を手に入れる訳です。当然、土地は税法上売却に当たりますが、この「立体買い換え」の方法をとれば譲渡所得税は原則として掛かりません。
 また、会社の所在地が工場地帯などで、賃貸物件に向かない場合は、会社の土地を第三者に売却して、その資金を元に収益物件の利用価値がある他の土地を購入して新に賃貸業を始めるという方法があります。これを、「事業用の買い換え」と言います。
 これは、前記の「立体買い換え」に比較して、多少余分の条件をクリアーしなければなりませんが、譲渡所得税を20%のところを4%まで下げることが可能です。
 その他の方法としては、会社の土地を欲しがっている第三者と、第三者が持っている土地とを交換するというやり方があります。これを「不動産の等価交換」と言います。等価交換の場合は、税金が掛かりません。
 等価交換と言われていますので、勿論、両者の交換しようとしている土地の価格が大体同じ位の価値でないと出来ませんが、各々が等価で有ると認識すれば良いわけであります。
 価値の誤差がある場合でも、その差が高い方の土地の20%以内であればこの方法が使えます。但し、差額の金額を受け取った方は、その分の税金を支払うことになります。
 なお、不動産の価値の差が20%を超える場合は「等価交換」の制度を適用することができません。
 今回は簡単な例を挙げてお話致しましたが、物事は画一的に解決出来るのもではなく、案件によって、また、それに関わる当事者の考え方によって取るべき方法が違ってきます。
 従って、柔軟に物事を考えられる能力を持った税理士や弁護士に仕事を依頼することが重要であるということを皆様は頭に入れておいて下さい。
 次回は、今回の続きをお話したいと思います。

《LLP千代田コンサルティングファーム》
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