ダイキン 14年3月期第1四半期決算 海外好調で純利益が倍増

2013年08月08日

ゴムタイムス社

 ダイキン工業の第1四半期連結決算は、連結売上高4603億9500万円、前年同期比46・7%増、営業利益403億8500万円、同81・4%増、経常利益406億3000万円、同103・1%増で大幅な増収増益となった。純利益は265億6400万円、同132・9%増。
 〈空調・冷凍機〉
 国内業務用空調機器では、政府補助金制度による昨年度の一時的な需要増加の反動があったが、好天に恵まれたこともあり、業界需要の減少は比較的軽微にとどまった。同社グループは、「Eco‐ZEAS80」を中心に節電・省エネ性と快適性を訴求した販売活動を重点的に展開したが、売上高は前年同期比で減少した。
 国内住宅用空調機器では、住宅着工数の伸長と節電意識の浸透による省エネ空調機器へのニーズの高まりから、需要は堅調に推移。売上高は、全体としては前年同期を下回ったが、高い省エネ性能を誇る高付加価値商品の販売が伸長した。中でも、平成24年度省エネ大賞において最高賞を受賞した「うるさら7(セブン)」は、高い省エネ性に加え、地球温暖化への影響が低く環境性能に優れたHFC新冷媒R32を初めて採用した商品であり、省エネ空調機器の販売増加に大きく寄与した。
 欧州地域では、EU各国の需要が低迷する一方、トルコや中東をはじめとする新興市場の需要は堅調に推移し、地域全体の売上高は前年同期を上回った。
 住宅用空調機器では、消費マインドが振るわない西欧諸国において、低価格帯でのルームエアコンの販売を強化したことや、新興市場のトルコにおいて大きく販売台数を伸ばしたことにより、地域全体では、前年同期を上回る販売を達成。
 業務用空調機器では、需要が低迷するEU各国でのきめ細かな販売店フォロー活動や受注活動に継続して取り組んだことに加え、新興市場での価格競争力ある商品展開により、店舗用エアコンの販売台数は前年同期を上回った。
 一方、ビル用マルチエアコンの販売台数は、EU地域での建築需要低迷の影響が大きく、前年同期を下回った。
 ヒートポンプ式住宅温水暖房機器では、建築需要低迷の影響により主力市場のフランスで前年同期を下回ったが、中欧・イタリア・スペイン・イギリスなどでの販売店開発が進展し、地域全体では前年同期並みの販売量を確保した。
 中国地域では、金融引締政策の影響を受け、政府系や大型不動産物件などの新築物件の需要は低調に推移したが、業務用・住宅用空調機器とも、小売り向け販売に注力することで、地域全体の売上高は前年同期を上回った。
 販売拡大施策の要として、本年4月より業務用・住宅用全商品のフルモデルチェンジを行い、販売店の期待に応える新商品開発を進めた。
 また特に住宅用マルチエアコンの小売販売網である「プロショップ」では、中国全域で販売店網の拡大と客先の開拓を進めた。大型空調(アプライド)市場も、需要の伸びが鈍化する中、エアハンドリングユニットや空冷スクリューチラーを中心に機器販売を大きく伸ばしました。
 アジア・オセアニア地域では、先進国からの金融緩和の波が新興国・資源国へと波及する中、オーストラリアやタイでの販売が堅調に推移したことに加え、インド・ベトナム・インドネシアなど新興国での住宅用空調機器を中心とした販売拡大が奏功し、地域全体の売上高は前年同期を大きく上回った。
 インドでは現地生産品の本格販売の開始により、またベトナムでは好天影響に伴い、住宅用空調機器の販売が大きく伸びた。また、インドネシアでは、昨年4月に販売会社を設立して以降、新規販売店開発など販売網構築を順調に進め、売上高は前年同期を大きく上回った。
 アメリカ地域の大型空調(アプライド)分野では、前年を下回る需要水準の中、ターボ冷凍機等の機器の増販、サービス事業の拡大、さらに中南米地域への輸出拡大により、売上高は前年同期を上回った。
 ダクトレス空調分野では、売上高は前年同期並みにとどまったが、昨年買収したグッドマン社が北米全域に有する強固な販売網も活用し、さらなる販売拡大とシェアアップをめざす。地域全体の売上高は、新規に連結した同社の売上高が寄与し、前年同期比で大きく増加した。
 この結果、同セグメント合計の売上高は、4223億4200万円、同51・5%増、営業利益は399億7600万円、同114・8%増となった。
 〈化学事業〉
 フッ素樹脂は、中国では鉄道・通信を中心とするインフラ投資の改善や自動車関係の需要が好調に推移し、売上高は前年同期を大きく上回った。米国でも自動車・航空機等の堅調な需要に支えられ、売上高は増加。国内では設備投資は依然として低水準にとどまり、需要の顕著な好転にいたらなかった結果、売上高は前年同期を下回った。
 またフッ素ゴムについては、国内とアジアでの需要の伸びが低調であったことから、売上高は前年同期並みとなった。これらの結果、フッ素樹脂全体での売上高は、前年同期を上回った。
 化成品は、撥水撥油剤については、国内と米国の需要が落ち込む一方、中国・アジア・欧州での衣料用途向け等の需要回復により売上高は前年同期を上回った。また、タッチパネル等に用いられる表面防汚コーティング剤でも、用途開発が奏功し、売上高が拡大。これらにより、化成品全体の売上高は前年同期を上回った。
 フルオロカーボンガスについては、需要全体に顕著な拡大が見られないことから、売上高は前年同期並みとなった。
 これにより、同セグメントの売上高は、298億9300万円、同10・0%増、営業利益は7億1300万円、同82・4%減となった。
 〈その他〉
 産業機械用油圧機器は、米国市場では堅調に推移。一方、国内およびアジア市場の需要は低迷し、売上高は前年同期を下回った。建機・車両用油圧機器は、国内主要顧客の国内需要および海外向け需要とも堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
 特機部門では、防衛省向け砲弾・誘導弾用部品の受注の減少により、売上高は減少。在宅酸素医療用機器の販売は好調に推移した。
 電子システム事業では、IT投資は依然として低調であるものの、設備設計CADシステムが好調に推移し、前年同期並みの売上高を確保した。
 この結果、同セグメントの売上高は、81億5900万円、同2・7%増、損益面では3億500万円の営業損失となり、前年同期比で損失額は減少した。
 通期業績予想については、前回発表から変更なく、売上高1兆7600億円、前期比36・3%増、営業利益1250億円、同41・0%増、経常利益1200億円、同27・5%増、純利益640億円、同46・8%増の見込み。

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