BASF PWCに発泡品が採用

2013年07月23日

ゴムタイムス社

 BASFは11日、スペシャリティビーズ発泡品E-por(イーポール)が、ヤマハ発動機の水上オートバイ(PWC:パーソナル・ウォーター・クラフト)「WaveRunner」の艇体内に採用されたと発表した。
 これにより、「WaveRunner」の軽量化を実現し、またISO13590の浮力テストの要件を満たしている。同品は、同艇VX700Sモデルの艇体内のフロント、およびサイドの空間部に配置されており、その低密度により、PWCに浮力性を与えている。
 VX700Sモデルは、主にエンジン、ジェット、タンクおよびハル/デッキ(本体)が主な重量物となり、3人までの乗船能力を提供する。PWCには、必要な浮力性を実現するための、十分な浮力をもたらす安定した構造物が求められる。E-porはその低密度と優れた物性により、浮力構造物に非常に適している。VX700S は、艇体重量が240kgと、3人乗りPWCの中で最も軽量のモデル。E-porは、全容積の大きな部分を占めるにもかかわらず、そのパーツ重量はわずか3・3㎏程度。さらに、EPS(発泡ポリスチレン)と同様、希望の密度、形状などに、簡単に成形加工が可能で、成形パーツは最適な状態で本体内に設置することができる。
 EPS成形加工メーカー、アステックコーポレーションの石阪宏未氏は、ビジネスパートナーのサノ企業とともに、材料選択の際にヤマハ発動機に対し、「同社のインターポリマーは、同社および同社のユーザーにとってその他の発泡品に代わる選択肢として興味深く、同品はその優れた特性により、非常に魅力的な製品」と説明。特に、同社のビーズ発泡品の低吸水性、クラック耐性および優れた耐薬品性は、材料選択の決め手となった。また、同品はこうした特性により、艇体の剛性感の向上にも役立っている。ヤマハ発動機マリン事業本部WV事業部、開発部の池田啓二郎氏は、「同社の発泡品は、技術要件すべてを満たしているためWaveRunnerに適している」と語っている。
 PWCは、ガラス繊維強化プラスチック製のハル/デッキ(本体)から構成され、 1人乗りのスタンドアップタイプから4人まで乗れるシットダウンタイプまで、さまざまなデザインで提供されている。これらは主にレジャー分野で使用されており、水辺のリゾート地で休暇を楽しむ人たちがマリンスポーツツアーでレンタルされることが多い。また、PWCは、水上警察・消防、レスキュー隊が使用する、高速かつ融通性の高い緊急パトロール用の乗り物としても利用されている。
 PWCが最も普及している米国では、現在約120万台が登録されている。ヤマハ発動機は1986年、「WaveRunner」のブランド名でPWCの生産を始めた。当時、ヤマハ発動機はシットダウンタイプでタンデムモデル(2人乗り)のPWCを市場に出した初めてのメーカーであり、ボートやボートエンジン、オートバイ製造における何十年もの経験が生かされている。
 E-porは、発泡インターポリマーで、ポリマー間および発泡剤で作用する多様なポリマーの複雑な組成に基づいている。同品はクラック耐性のあるビーズ発泡品であり、耐溶剤性にも非常に優れている。強靭な弾性を備えたこの発泡品は、発泡ポリスチレンStyropor(スタイロポール)と同様、保存、加工、リサイクルが可能。

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