帝人 タイにアラミド繊維工場新設

2013年07月12日

ゴムタイムス社

 帝人は11日、タイ国アユタヤ県に100%出資の現地法人を設立し、新たに自社開発した新規メタ系アラミド繊維の生産工場を新設すると発表した。
 新工場は2013年12月に着工し、2015年7月に稼働を開始する予定。これにより同社は、今後、拡大が期待されるアジア・新興国における防護衣料の需要獲得を加速していく。
 同社グループは、高強力のパラ系アラミド繊維「トワロン」(オランダ国・エメン市で生産)および「テクノーラ」(愛媛県松山市で生産)と、長期耐熱性や難燃性に優れるメタ系アラミド繊維「コーネックス」(山口県岩国市で生産)を併せ持ち、世界屈指のアラミド繊維メーカーとしてグローバルに事業を展開している。アラミド繊維は同社グループにおける中長期の成長ドライバーの1つであり、今後は、特にアジア・新興国における基盤強化により、事業拡大を推進していくこととしている。
 また同社は、長年培ってきたアラミド繊維やその織物、および防護衣料の技術やノウハウを活かし、警察、消防、製造現場などの安全を支える「ライフプロテクション」分野で幅広いソリューションを提供しており、国内の防火服市場においてトップシェアを獲得。欧米および日本市場においては、耐熱性や難燃性が要求される場面の「ライフプロテクション」として、既にメタ系アラミド繊維製の防護衣料が広く使用されている。さらに近年は、アジア・新興国でも作業従事者の安全確保に向けてより厳しい基準が導入されつつあり、今後、アジア・新興国市場においても、防護衣料向けにメタ系アラミド繊維の需要拡大が見込まれている。
 このようにメタ系アラミド繊維の市場はグローバルに拡大しているが、一方で近年は、主要な用途であるフィルター向けを中心に競争が激化している。こうした状況の中、同社グループでは、より強いコスト競争力を持ってグローバルに市場対応していくため、新しいメタ系アラミド繊維の開発を進めてきた。
 新開発のメタ系アラミド繊維は、同社が新たに開発した製造方法により、優れた熱防護性、安定した高い染色性を有し、既存の「コーネックス」では実現できなかった後染め(紡糸・製織後の染色)が可能。また、より競争優位なコスト構造を実現した。これにより、既存の「コーネックス」と併せ、防護衣料市場におけるグローバル競争力強化に大きく寄与することができるとしている。
 新工場は、ポリエステル繊維の生産拠点であるテイジン(タイランド)社の敷地内に、帝人100%出資による現地法人を設立し(8月末設立予定)新設する。
 〈新工場の概要〉
▽所在地=タイ国アユタヤ県・バンパイン工業団地内 テイジン(タイランド)社敷地内
▽設立時期=2013年12月着工予定、2015年7月稼働開始予定
▽生産能力=2200トン/年
▽総投資額=約45億円
 同新工場新設により、同社では既存の「コーネックス」(生産能力:年産2700トン)と合わせ、より迅速に、コスト競争力を持ってグローバル市場に製品を供給する体制が整うことになる。既にグローバル展開しているパラ系アラミド繊維「トワロン」および「テクノーラ」、メタ系アラミド繊維「コーネックス」、耐炎繊維「パイロメックス」、高機能ポリエチレンテープ「Endumax」に加え、新たなメタ系アラミド繊維を持つことにより、同社グループは防護衣料向け高機能素材のラインナップをより一層拡充。また、これらの素材を組み合わせたハイブリッド製品により、顧客のより多様なニーズに対してソリューションを提供することが可能となる。
 今後は防護衣料の研究開発の中心拠点である大阪研究センター、本年4月に中国・上海で本格稼働したアラミド繊維の用途開発・技術サービス拠点「テクニカル・センター・アジア」、および岩国の「コーネックス」工場、このたびタイに新設する生産工場とを有機的に連携させることで、成長市場の需要の取り込みを加速するとともに、マーケットリーダーとしてさらに優位なポジションの確立を目指す方針。

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