出光興産 SPSの新メッキ加工技術を開発

2013年06月26日

ゴムタイムス社

 出光興産は24日、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(以下SPS、商品名:ザレック)への高周波回路基板向けメッキ加工技術の開発に成功したと発表した。
 近年、高周波・高速伝送回路基板は高速信号伝達が要求されるさまざまな分野で応用が進んでいる。高周波・高速伝送回路基板には電気信号の高速伝送特性と、誘電損失の低い材料が求められるため、高価なフッ素樹脂や液晶樹脂などが使われている。
 SPSは優れた電気特性(低誘電率・低誘電損失)と耐熱性・耐加水分解性、耐薬品性、低吸水性、低比重といった特性を有しており、自動車の電装関連の材料を中心に年率10%に近い伸長率で需要が拡大している。2008年より、日本表面処理研究所と共同で、安定して電気を速くかつロスを最小限に抑えて送るという優れた電気特性を持つ高周波・高速伝送回路基板を製造することを目的に、SPSに対する新規メッキ加工技術の開発を進めてきた。
 今回新たに開発した技術では、原料配合を最適化したSPSを用いて押出成形したプレートの表面に日本表面処理研究所が保有する独自の表面処理技術とメッキ技術を組み合わせることで、表面を大きく粗面化することなく密着性の高い導体金属層を形成することに成功した。これによりSPSが持つ優れた特性を生かした高周波・高速伝送回路基板の製造が可能となった。同社は今後、ミリ波レーダーシステムなど、自動車や家電・モバイル機器分野を中心に積極的な用途開拓を進めていく考えだ。

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