十人十色の事業承継 第4回

2013年04月01日

ゴムタイムス社

 会社内部の人間に事業承継させる場合-1

 今回は、事業承継者が他人(親族以外の役員或いは従業員)に対しての事業承継の方法についてお話します。
 他人に対しての承継方法も基本的なやり方は親族への事業承継と同じですが、今回は承継後も会社から収入を得る方法をお教え致します。先ず社長は承継後どの様な形で収入を得たいかを次の方法から選んでください。

 1.承継後、会社から退職金等を取るか。
 2.承継後、会社から一定の給与を取るか。
 3.承継後、株式の配当を取るか。

 この方法によって、事業承継のやり方が変わって参ります。事業承継とは、まず会社の株式を事業承継者に譲渡する事から始まります。事業承継者が他人の場合は、株価を適正あるいは高く設定する必要が有ります。上記の1から4の方法を行う場合、株価は大変重要な要素になります。株価を適正あるいは高く設定する方法は大変技術的な方法になりますので、後のコラムでじっくり書きたいと思います。まず、方法1の退職金等を取るための計算方法ですが、以下の通りです。 (社長の最終年俸÷12)×社長の役員在任期間×功績倍率 会社の業績にもよりますが、社長が創業者の場合、又は前の事業者から引き継いだ場合で現事業者が会社をより良くした場合、功績倍率は3倍から5倍になると考えて下さい。もっとも、大変な実績を上げた場合は更に功績倍率を上げる事も可能です。また、この退職金の金額であれば税務上、経費として計上出来ます。次に、方法2の承継後、会社から一定の給与を取る方法についてです。これは承継後、代表権は次の経営者に譲って平取締役として会社に残ります。取締役に残ることで一定の給与を取り続ける事が可能です。この期間は一年でも良いですし、数年でも構いません。しかし、給与の額は社長時代の半額以下に抑えて下さい。なぜなら元代表がその後、代表を降りてからもらう給料を今までの半分以下にするのは税務上、決められているからです。また、給料をもらうという事は社員と同じ扱いになりますが、毎日出社する必要はありません。取締役の責任を果たすために、取締役会には出て頂き議事録に印鑑を押して頂ければ十分です。そして方法3の株式の配当を取る方法についてです。この方法を選ぶ場合、事業承継時に社長は全ての株式を次の事業承継者に譲渡するのではなく、株式総数の30%以上49%以下は保持するようにしてください。もちろん社長の配当金の受け取りたい額から計算して決めてもいいのですが、社長自身の保有株式数が総数の30%以下ですと、取締役の解任との特別決議には参加出来ません。その為、自分の気づかないところで解雇されているという事が発生してしまう可能性があるので注意が必要となります。
 この株式の方法については、次回詳しくお話しいたしますのでよろしくお願い致します。

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