ランクセス ブラジル工場をSSBRに製造転換 

2013年03月05日

ゴムタイムス社

 低燃費タイヤ向け需要増に対応

 ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、このほどブラジル南部のトリウンフォ拠点(リオグランデ・ド・スル州)においてフィージビリティスタディを実施し、標準タイヤ向けのESBR(エマルション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造から、高性能「エコタイヤ」向けのSSBR(ソリューション・スチレン・ブタジエン・ゴム)の製造に転換すると発表した。
 現在、ESBRの年間製造能力11万トンを誇るトリウンフォ拠点において、約8、000万ユーロを投資して製造技術の転換を行う。この投資資金を営業キャッシュフローで調達する予定で、この転換期間中に最大500名を臨時雇用し、2014年末から、SSBRの最新グレードの製造を開始する。
 ESBRは今後、ブラジルのドゥケ・デ・カシアス拠点(リオデジャネイロ州)から顧客に安定した供給を行う。ESBRは、主にトラック用タイヤの製造およびリトレッド(摩耗したタイヤ表面のトレッドゴムの張替え)に使用されており、リトレッドすることで、カーカスが複数回再利用でき、タイヤ製造における原料の節減となる。
 ランクセスは、エコタイヤ向けの合成ゴムとして「ブナ(R)(Buna(R))」の商標名で販売されているSSBRやネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(NdーPBR)を製造、世界各国で導入が進められているタイヤ燃費規制(タイヤラべリング制度)により、低燃費で環境に配慮した「エコタイヤ」の需要は拡大傾向にあるとし、SSBRとNdーPBRの世界の成長率を、2017年まで年間約10%と予測している。
 「エコタイヤ」において、SSBRは主にトレッドコンパウンドに使用され、NdーPBRは、トレッドコンパウンドとサイドウォールコンパウンドに使用される。これらのゴムは、タイヤの転がり抵抗を低減することで燃料効率向上に貢献。また、SSBRは湿潤路面でのグリップ性能を向上し、NdーPBRは優れた耐摩耗性を備えているため、タイヤの耐久性を高める。
 また、こうした需要増を背景にランクセスでは
過去2年間で、高性能ゴムのSSBRとNdーPBRの製造能力を年間計7万トン増強した。これは、ドルマーゲン(ドイツ)、オレンジ(米国)、カボ・デ・サント・アゴスチーニョ(ブラジル・ペルナンブーコ州)の各拠点のプラントにおける、ボトルネック解消プロジェクト完了の成果。さらに、ポート・ジェローム拠点(フランス)でも、SSBRを製造している。
 昨年9月には、シンガポールに新設する世界規模のNdーPBR製造プラントの起工式を行った。特に急成長するアジアのタイヤ業界に向けてNdーPBRを供給するもので。総投資額2億ユーロを見込む同プラントは、年間製造能力14万トンを備え、2015年の上半期に稼働を開始する予定。

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