2012年ゴム業界 10大ニュース

2012年12月18日

ゴムタイムス社

 景気後退でゴム製品需要も後半失速

 2012年は、東日本大震災の復興・再生に向けて日本が大きく動き出した1年でありました。ゴム製品需要は、国内自動車生産の回復を追い風に、年初から順調に推移しました。順調な経済状態が続くものと思われましたが、下期に入ってからはエコカーポイントによる補助金制度の終了や日中関係の悪化、さらには 欧州財政危機が中国経済にも飛び火、日本を取り巻く環境は国内外とも一転して減退基調へと移りました。厳しい経済環境のまま越年が予想されますが、早期の回復が期待されるところです。ここでは、本紙選定の 10大ニュースをもとに2012年を回顧しました。

 経済環境は夏以降、急速に減退へ
 景気刺激策の一環である政府の「エコカー補助金」制度は、来年1月31日までが対象期間であるが、予算額(2747億円)に対して今年6月時点で申請額は1431億円、全体の52%に達し、予定よりも相当早く終了した。
 新興国の自動車需要は今後も大きく伸びることが確実で、日系カーメーカーは海外生産を拡大させているが、一方で国内需要は少子高齢化から市場縮小は否めず、抜本的な対策が迫られている。
 自動車販売店が事務代行の次世代自動車振興センターに申請書を送付、受け付け順に審査が行われていたが、予定よりも早く終了した。

 ゴム製品生産、上期は順調ながら下期は減少へ
 ゴム製品需要の伸びにストップがかかり、後退局面に移った。経済産業省まとめによる本年1―9月期のゴム製品生産実績(確報)によると、生産量は全体で105万3402㌧、前年同期比98・7%と小幅ながら前年同期実績を下回った。出荷金額は1兆7049億900万円、同103・6%とプラスを維持しているが、新興国を含め世界景気の悪化により、ゴム製品生産は先行き減少が予想される。
 2012年のゴム製品生産は、国内では東日本大震災の復興需要や国内自動車生産の順調推移を背景に上期はタイヤ並びに自動車用ゴム部品、一般工業用品ともに堅調に推移、緩やかながらも回復基調をたどったが、欧州経済の長引く低迷が中国をはじめ新興国市場へも波及し、夏場以降は伸びに陰りが見え出し、中国市場の冷え込みも加わり需要は急速に減退した。
 9月のゴム製品生産実績は、全体で11万5334㌧、前年同月比89・7%と1割減となった。主力の自動車タイヤ生産が9万3380㌧、同89・2%と落ち込み、ゴムベルトも2399㌧、同89・1%、ゴムホースは2907㌧、同87・3%、工業用ゴム製品計は1万4445㌧、同92・3%といずれも前年実績を下回った。この結果、1―9月累計生産量は105万3402㌧、前年同期比98・7%とわずかながらマイナスとなった。出荷金額は累計で1兆7049億900万円、同3・6%増となった。
 1―9月期の品種別生産実績をみると、自動車タイヤが84万9739㌧、前年同期比3・1%減、ゴムベルトは2万634㌧、同0・5%増、ゴムホースは2万8040㌧、同8・5%増、工業用品は13万4694㌧、同7・4%増と、タイヤ以外は前年同期実績を上回っているが、10月以降も生産は減少推移で年間トータルでは前年実績を下回ることが予想される。同期の出荷金額は、ゴムベルト(558億8200万円、同0・2%減)が微減となったが、タイヤ、ホース、工業用品はわずかながらプラスを維持した。
 3月期決算の主要上場ゴム企業の中間期連結業績をみると、売上高は過半数が増収となったが、収益面にはバラつきがみられた。輸出依存型では円高に加えて欧州、アジア市場の低迷などが影響、国内においても復興需要が大きく伸びず、液晶・半導体関連需要の低迷などにより減益となった企業も数多い結果となった。
 ゴム製品の生産予想が減少傾向にある中、企業業績も下方修正するところが目立ち、年末から新年にかけて厳しい環境が続くことが予想される。

 タイヤ各社のスタッドレスタイヤの性能が向上
 国内大手タイヤメーカー各社はスタッドレスタイヤの性能向上を図り、新商品を相次ぎ上市、今シーズンの販売商戦がスタートした。
 住友ゴム工業は8月に「氷上路での安全・安心」を追求し、性能を進化させた「WINTERMAXX」を発売。横浜ゴムは8月にトラック・バス用タイヤシリーズ「ZEN(ゼン)」の氷雪上性能重視型スタッドレスタイヤ「ZEN 903ZW」、9月には氷上性能のさらなる向上に加え、省燃費性能も高めることを目指した「iceGUARD 5」、日本ミシュランタイヤは9月にアイス性能の更なる向上を第一に目指すとともに、潜在的ニーズである耐久性、省燃費性、静粛性をも高次元で確保することを目指して開発された「MICHELIN X―ICE XI3」を発売した。
 一方、スタッドレスタイヤ4年目に突入するブリヂストンは10月、「BLIZZAK REVO GZ」にハイブリッドカー向けスペックを追加、北海道地区限定の「BLIZZAK SI―12」を発売。その他日本グッドイヤー「ICE NAVI ZEAⅡ」、3年目のピレリジャパンの「WINTER ICECONTROL」等それぞれのブランドがすでに市場に浸透している。今後はいかに販売をしていくかがキーポイントになってくるだろう。

 

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