横浜ゴム MB事業部門の現況と事業戦略

2012年11月05日

ゴムタイムス社

MB事業部門の現況と事業戦略

横浜ゴム

小林副社長

小林副社長

 「搬送」「接着」「緩衝」のコア技術で

 横浜ゴムのMB事業では世界No.1シェアの防舷材をはじめ、高圧ホース、建築用シーリング材など高い優位性を誇る商品を有しており、同社の中期経営計画のグランドデザイン100(GD100)では「運ぶ(搬送)」「くっつける(接着)」「やわらげる(緩衝)」という3つのコア技術を基に、今後もこの3つのコア技術において既存商品の枠にとらわれない新たな商品を生み出し、数多くの世界ナンバーワン商品を作り出していく計画。小林達取締役副社長(経営企画室・グローバル人事部・秘書室・GD100推進室担当兼MB管掌)にMB事業の今後の事業展開を聞いた。

 世界No.1商品を創出へ ベルト、防舷材の海外生産拠点視野に

 上期の現況からお聞かせください。
 小林氏 震災復旧の需要に加え、アジアでの需要も急激に回復、北米市場も自動車用が好調に推移した反面、中国市場は建機向けを中心に販売が激減し、上期のMB事業の売上高は前期比約107%の伸長となりました。

 部門別の販売動向は。
 小林氏 MB事業の上期売上高約600億円のうちホース配管事業は約220億円、前期比約110%と好調に推移しました。国内、アメリカでの自動車生産の回復で自動車用のエアコン、パワステ用ホースが大きく伸びました。国内の油圧ホースは中・小型建機向け需要が堅調でした。
 工業資材部門は、土木関連資材が落ち込み不振でありましたが、国内のコンベヤベルト、海外のマリーンホース、フェンダーなどの海洋商品が大きく伸び、上期の工業資材部門の売上高は約130億円、前期比約110%の伸びとなりました。 ゴム支承、ハイウェイジョイントなどの土木関連資材は公共投資の抑制に加え、大型投資案件が一巡したことにより、物件が減少傾向にあります。これら事業については橋梁の改修用途を視野に販売を強化するなど、今後の対策が必要と考えています。
 コンベヤベルトは工業資材部門の売上の約4割を占め、国内向けは震災以降、原子力発電の抑制により火力発電向けの特需が出ています。一方、輸出は世界的な需要から上期は少し盛り返しましたが、弊社の主力仕向地であるオーストラリアでは、海外の競合メーカーが現地生産を開始したこともあり、苦戦しています。CIS諸国、中近東、中国国内の資源開発プラント向け需要には弊社の中国におけるコンベヤベルト生産販売子会社である「山東横浜」が対応していますが、円高の影響もあり微増となっています。

 海洋商品が好調のようですが。
 小林氏 マリーンホース、フェンダーは弊社の高い技術力が評価され、売上につながっています。特にフェンダーではこれまでの岸壁への接岸用から船舶同士の接舷用に需要が拡大しています。LNGなどの船舶間移送では、より高い安全性が求められ、当社の開発した無線を利用したフェンダーの状態を総合監視する「2船体操船および係留監視システム」が注目を集めており、今後さらに注力したいと考えています。
 ハマタイト事業では建築用シーラントの需要が、大規模都市開発が一巡したことにより減少しましたが、自動車用シーラントは国内、米国での自動車生産の回復で好調に推移し、上期の売上高は約120億円、前期比115%の伸びとなりました。建築用シーラントでは、改修分野に的を絞り、事業展開していく必要があると考えています。

 下期の需要見通しと年間販売計画は。
 小林氏 本年7月くらいから中国景気の落ち込みや、アジア地区での資源開発需要の動きが鈍くなってきました。それらに伴い建機メーカーが中国、アジアで減産を行っており、油圧ホースでは、下期以降の需要減退が懸念されるところです。弊社では12年度のMB事業の業績予想を売上高を前期比106%の1170億円、営業利益60億円を見込んでいます。厳しい市場環境ですが、海洋商品の拡大、北米市場での自動車用部品の好調維持により何とかこの計画目標を死守したいと考えています。

 海外事業戦略について
 小林氏 油圧ホース・金具ではアメリカ、タイ、中国、欧州にアセンブリ拠点を有していますが、北米における自動車用ホースの生産販売子会社である「YHアメリカ」ではPS(パワーステアリング用)ホースの受注拡大に対応し、2009年5月に生産能力の増強を図っており、自動車用の配管製品の用途展開も含めこの3年間で、150億円規模の事業体に成長しています。中国では中国杭州市にゴム練りから加硫までの油圧用高圧ホースの一貫工場を建設し、2013年1月から生産する計画でしたが、土地の使用認可手続きが遅れたために、生産開始を2014年初頭に延期しています。タイの生産販売子会社ではPSホースをはじめ、建機、鉄鋼向けの補修用途として、ISO規格ホースの需要が拡大し、この2年間で売上高、利益ともに4倍の伸びを見せています。中国の山東横浜では立ち上げに苦労しましたが、大型のプロジェクト受注にも恵まれ、売上、利益ともに計画を前倒しする伸長を見せています。
 量を拡大するにはその市場に適応した商品、コスト競争力が必要になってきますが、平塚製造所からすべてを供給するのには限界があります。販売面ではグローバル化への対応が緒について来ており、当初描いていた、適所の商品、コスト競争力を高めていくためにフェーズⅢの最終年度である2014年までには、ベルト、海洋商品の海外生産拠点を設立したいと考えています。生産拠点として優位性を得ることが可能なアセアン諸国を中心に設立を検討しています。設備面では人手がかからないゴム練りからの完全連続・自動化の新工法が必要となってくると考え、その準備を平塚製造所で進めています。候補地が決まれば、