【CMB特集】 エラストミックス 海外販売が国内上回る

2012年09月26日

ゴムタイムス社

海外販売が国内上回る アジアでトップ企業目指す 新たな成長戦略を推進

エラストミックス

 ㈱エラストミックスは、ゴム精練のトップメーカーとして、国内外で事業展開し、近年はアジアでの生産・拡販に注力している。
 前期(12年3月期)の業績は、震災影響により販売量は前年割れとなった。しかし、原材料高騰に対応した価格改定もあり、売上高は前期並みを確保。震災に伴う緊急対策としての経費節減や設備投資繰延べなどを主因として、収益は前年比プラスを達成した。
 今期の足下(第1四半期)の需要動向については、販売量は前年同期に比べて増加傾向。しかし、11年度後半からその傾向は見られたが、自動車の回復(トヨタ・ホンダ)に比して、CMB需要は予想以上に弱含みで推移、上期では前年同期を若干下回る見通し。
 「自動車の売れ筋が小型車であること、それによるゴム使用量の減少要因が推察される。また、一部の顧客は需要減による内製化、工場集約化とともに、円高による海外移管への動きもより強まっている。下期は、エコカー補助金制度の終了など新車販売の落ち込みも予想され、上期横ばいのままになる可能性も見込まれる」(同社)とする。
 海外は天津、佛山、タイの生産拠点は前年同期比2ケタ増の伸びを示しており、とくにタイは好調に推移している。しかしながら、中国の減速は避けられない見通しで、下期は慎重な見方。タイは引き続き好調に推移すると予測している。
 国内生産拠点の状況については、東京工場、四日市工場で黒練り、滋賀工場で色練り(FMB)を行っており、基本的にはフル生産を維持しているが、上期中旬から販売量が伸び悩み、一部でスポット的な生産調整を実施している。海外の生産拠点は黒練りが主体で、フル稼働状態が続いている。
 国内市場の中期的展望については、少子化影響もあり、全般的に需要縮小傾向にあると予測する。とくに自動車生産は国内需要が落ち込み、海外への生産シフトが加速する。また、ゴム部材もリサイクル化による樹脂化、さらに小型車化、EV化による使用減が懸念される、とする。こうした中で、同社は採算改善、固定費削減などで収益体質の強化を図り、国内拠点はマザープラントとして海外支援体制を整え、海外拠点に事業の軸足を移す。
 11年度までは国内販売量の方が多かったが、今年度以降は販売量比率も逆転する見込み。今後は、海外事業を拡大させ、国内はそのための支援体制に力点を移行することになる。具体的には、日本で教育されたプロフェッショナルな要員の供給、そして国内からの技術サポートにより海外での差別化を図り、低コスト化と安定した品質の提案で競争力を向上させ、グローバル市場で勝ち抜くことを目指す。
 グローバル展開の事業方針は、日本に加えて、タイ・中国(天津・佛山)の3拠点を中心に、アジアでCMBのトップメーカーを目指す。アジアの新興国をターゲットに、伸長する需要を取り込み、新たな拠点への投資の可能性も今後勉強していきたいとしている。
 CMB事業の課題については、顧客の海外進出が加速、国内市場の縮小は今後さらに進展する見通し。このため国内販売と生産体制の更なる見直しを図り、海外事業を拡大させ、グローバルな競争に勝ち抜く成長戦略を推進していく。
 さらに、海外現地ローカル企業と競合した場合、日本国内ではエラストミックスブランドによる安心感を得ていても、海外では価格競争に陥る傾向も否定できず、提案力を活かして、品質・技術の差別化を図り、それを顧客にアピールすることも課題だとしている。
 JSRグループとしての中期経営方針については、経営理念は「精練加工技術を基本とするマテリアルを通じて価値を創造していく」こと。ゴム練りのプロ中のプロといわれる技術力を今後も強化し、成長を目指す考え。基本的には、JSRグループの一員として、ポリマー加工技術および配合技術とEPなどを中心とするポリマーの確保力(JSR、クムホポリケム、日本ブチル)を最大限に活かし、かつ他のポリマーも含めてあらゆる練りに対応できる「練りのグローバルサプライヤー」となることがミッションとなる。

(2012年9月24日紙面掲載)

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