東洋ゴム タイヤ海外生産比率40%に拡大へ

2012年09月10日

ゴムタイムス社

 「NANOENERGY 」低燃費タイヤ
 15年にグローバルに120万本

 東洋ゴム工業の中倉健二社長は8月31日開催のマスコミ懇談会席上、モノづくりへの思いを語る中、業界に先駆け日本市場に初投入したAAAーaグレードの最高峰低燃費タイヤ「NANOENEGY 0」のグローバル展開はじめ、ダイバーテック事業の事業体制強化への取り組み姿勢をを明らかにした。 同社は国内タイヤラベリング制度が定める転がり抵抗係数、およびウェットグリップ性能という両基準において最上位等級を達成した低燃費タイヤ を新たに開発、低燃費タイヤNANOENERGY ブランドの新商品として、「NANOENERGY 0(ナノエナジー・ゼロ)」を本年7月2日より販売を開始した。
 「世界的にも低燃費タイヤの普及が先行している日本市場において、「転がり抵抗性能AAA/ウェットグリップ性能a」という最高峰の環境性能を有したタイヤの発売は、これが初めて」(中倉健二社長)と、ゴム材料をナノレベルで観察、解析、設計、加工する同社の基礎技術力の深化を強調した。
 同社は2012年2月に日本市場初のAAAーbグレードの「NANOENERGY 1」、同年6月にサイズラインアップを充実させた「NANOENERGY 2」を発売しており、「本年10月には欧州、オーストラリア市場で展開、2013年7月からはアジアでも投入する」(同)とし、NANOENERGYシリーズの販売を2015年までに国内50万本、海外70万本の合計120万本を見込んでいる。
 また、タイヤ事業では、「当社は海外生産比率が業界でも一番低い20%。低価格製品に対応するために2015年までに海外生産比率をアジアの生産拡大で40%まで高めたい」(同)とし、グローバル生産供給体制を2011年の2900万本から2015年までに4500万本までに拡大する計画でいる。
 その中心となるのがアジア市場で、マレーシア「シルバーストーン」300万本、中国のトラック・バス用タイヤ「東洋輪胎諸城」50万本、「東洋輪胎張家港」(自社)200万本、「TOYO Tyreマレーシア」(自社)500万本の計1250万本の供給体制を確立する。「新工法A.T.O.Mの要素技術を移植し、TOYO TYRESの日本品質をグローバルに提供していく」(同)としている。
 
 ダイバーテック事業
 国内事業を再編 アジアでの供給体制を拡充

 また、ダイバーテック事業ではこれまで同社は選択と集中により収益体質の強化を図ってきたが、さらなる経営資源の最適化を図るため2013年1月1日付で新会社「東洋ゴム化工品株式会社」(予定)を設立する。鉄道車両用部品(防振ゴム)、OA機器部品、および産業・建設・防水資材(免震ゴム,遮水システム)関連商品の開発、生産、販売を新会社に統合し、ダイバーテック事業の収益力アップを図る。 一方、アジアでの事業拡大により、成長市場に対する自動車部品の戦略的事業拡大を図っており、2012年11月からはタイで自動車用防振ゴムの販売を開始するほか、同じくタイのOA機器向けクリーニングブレードの製造、販売会社「TOYO RUBBER CHEMICAL PRODUCTS(THAILAND)LIMITED」で2012年11月から生産を開始する。
 中国市場では無錫に設立した「無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司」で鉄道車輌用部品(空気ばね、防振ゴム)の生産を2013年6月に開始する予定。また、中国佛山市に自動車等輸送機器向けにウレタンシートクッションを製造、販売する合弁会社「佛山東洋時利和汽車零件有限公司」を2012年10月に設立する予定で、計画では2013年7月に生産を開始する。 
 中期経営計画でもダイバーテック事業部門の戦略の一つとして、ウレタン事業の新たなグローバル展開を掲げており、アジア地区での拡大により「2015年までにダイバーテック事業の売上高900億円(10年755億円)を目指す」(同)。また、震災後に需要が活発化している免震ゴムについては「需要に応えられない状況で、設備能力の増強を含めた生産設備の見直しを図らなければならない」(市川 貴史取締役)としている。

東洋ゴムダイバーテック

 

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