【CMB特集】 日本ゴム精練工業会 山本誠会長に聞く

2012年09月26日

ゴムタイムス社

日本ゴム精練工業会 山本誠会長に聞く

情報提供など積極展開 11年市場規模は13万㌧強

 日本ゴム精練工業会(山本誠会長)は、今年度の事業活動として国内のゴムコンパウンド市場調査を実施した。同工業会加盟企業(23社)に、2011年年間の出荷状況をアンケート調査したもので、その結果は全体で13万㌧強となった。リーマンショック以降、景気低迷に加えて自動車部品メーカーの海外生産拡大が続き、国内市場のシュリンクは否めないが、国内のゴムコンパウンド市場がほぼ把握された格好だ。そこで、山本誠会長(ゼオンポリミクス代表取締役社長)にCM業界の現状と今後の展望について話を聞いた。
  ◇  ◇  ◇
 ―本年の活動状況について。
 山本会長 今年は4月19、20日に滋賀の雄琴温泉で定時総会を開催した。任期満了に伴い、三洋ゴム工業の君島社長の後任として、私がゴム精練工業会の会長に就いた。工業会活動としては、市場調査に着手し、2011年の会員各社の出荷実績をアンケート調査することで、これまで推定だった市場規模の把握に努めることにした。
 会員各社の出荷実績を積み上げると、全体で13万㌧強となり、以前は年間市場12万㌧弱としていたが、大きな開きはないものの1万㌧程度実際は上回っていることになる。
 ―市場は下げ止まりと予想できますか。
 山本社長 いや、国内市場は部品メーカーの海外進出に伴い、材料の現地調達化も進んでおり、内需は今後も縮小することが予想される。ゴム部品メーカーの内製化による市場減退も過去には大きな減少要因だったが、なかなか加工メーカーの外注化の動きはみられず、今後も厳しい市場環境が続くものと思われる。
 ―具体的な需要確保のための施策は。
 山本会長 自動車部品については新車生産の動向に大きく左右され、先行きは大変厳しいだろう。しかし、東北地域の震災復興需要はインフラを中心とした部品需要が今後期待でき、土木建築分野のゴム部品需要も将来的には伸びることが予想され、いかに情報を早くつかみ、ニーズに見合う高付加価値製品の提供をすることが、生き残り策になっていく。バブル崩壊やリーマンショックによる大幅な需要減を経験しており、ゴムコンパウンドメーカーは技術力を武器に難局を乗り超えていくと思う。また、ゴム精練工業会も会員企業にとって真に必要な情報の提供や各種勉強会の開催などで存在意義を高めていきたいと考えている。
 ―今秋には臨時総会が予定されていますが。
 山本会長 11月中旬に臨時総会を予定しているが、9月中旬に東京で準備会を開いて具体的な議題や場所などを決定する。議題としては、業界動向の調査や環境問題、法規制への取り組み、設備老朽化の対応、後継者育成問題などを考えている。
 ―大手のCMメーカーは海外事業を強化されていますが。
 山本社長 需要家が海外に目を向けており、生産を拡大させている現状をみると、海外に拠点を有するCMメーカーは今後、増産や新たな拠点確保が課題になると思う。
 タイはインドネシアやインドなど需要増大地域への輸出拠点としての役割が増すことになり、現在は低迷している中国も潜在需要は大きく、中長期的には市場が拡大し、増設あるいは新拠点など対応が必要になるだろう。地域的にはインドネシアが注目されており、需要家の進出に伴い、コンパウンド需要も一気に拡大する可能性がある。
 ―最後に、ゴムコンパウンド市場の今後の予想について。
 山本会長 上期は前年が震災直後で生産が大きく落ち込んだ時期との対比であり、各社とも、前年同期比10%増程度となっているのではないか。10月以降の下期だが、ここにきて需要が落ち込んでおり、上期ほどの伸びは難しいと思われ、通期で何とか昨年の10%程度の増収維持に期待したい。しかしながら、中長期でみると海外での現地調達化が更に加速して、国内出荷量は現在の半分程度にまで落ち込む可能性があり、各社の強みを生かした生き残り戦略が求められることになる。

(2012年9月10日紙面掲載)

日本ゴム精練工業会 山本誠会長

日本ゴム精練工業会 山本誠会長

 

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