トップインタビュー バンドー化学 谷和義社長

2012年08月06日

ゴムタイムス社

 グローバルに販売拡大 コスト競争力を強化

 バンドー化学㈱の谷和義社長は7月27日、神戸本社で記者会見し、2012年3月期決算、原材料価格高騰への対応などについて次のとおり語った。

 

 2012年3月期決算を振り返って
 谷社長 昨年の東日本大震災をはじめ、タイ洪水の影響によるユーザーの生産稼働率の低下や電力供給の影響などにより厳しい経営環境であった。また円高、欧州の金融不安、米国経済の停滞等の影響で中国やインドをはじめとするアジア新興国の成長を鈍化させた。結果的には売上高はほぼ横ばいになり、営業利益段階では円高の影響も含めた原材料高騰などにより減益となった。中計のグローバル販売の拡大については、中国、ASEAN諸国を中心に伸びてきている。またインド、中国、ベトナム等、アジアを中心とする設備投資を再加速することで、増産に対応できる体制が整っている。今後も新興国の需要は拡大し、伸ばせる余地は十分あるものの、利益面で原材料高騰の影響を及ぼしている可能がある。

 

 タイの洪水の影響や震災復興の見通しについて
 谷社長 当社の拠点は直接の被害は免れた。しかし現実にまた洪水がいつくるかわからない状態のなか、工場の生産を一か月止めたような状態が続いたので影響を受けた。一方、国内の震災復興の見通しはなかなか厳しい状態で、息の長い復興になるのではないか。

 

 設備投資について
 谷社長 連結で65億円を予定しており、国内が31億円、海外が34億円。海外は核であるベルト事業を中心に、特に中国、タイ、インドネシア、米国等の生産拠点で高まる需要増加に対応すべく生産設備を増強していきたい。国内は省エネ関連の設備投資を行っていく。

 

 最近の動向について
 谷社長 中国やインドの経済が停滞状況で厳しいなか、第一四半期の出だしはほぼ計画通りに推移。事業別では、伝動事業の自動車用伝動ベルト製品や一般産業用伝動ベルト製品が見込み通りに推移しているが、マルチメディアパーツ事業が欧米経済の停滞の影響で需要が落ち込んでいる。また化成事業や建築資材用フィルム等が思ったより厳しい状態になっている。

 

 中期経営計画(DMー2)の取り組み、進捗状況について
 谷社長 ベルト事業を中心に、中国、インドASEAN地域等を重点に積極的に販売拡大するほか、生産能力の増強を引き続き実施し、国際最適生産分担と各生産拠点間における相互補完体制の確立を目指していく。特に海外拠点は原材料の比率が高いため、今後原材料をいかに原価低減できるかが課題となっていく。最近では海外の材料メーカーの品質も向上しており、海外の材料で積極的に調達できるようにしてきたい。そこで当社はグローバル調達部を強化し、調達先は日本だけではなく、海外にも視野にいれる。具体的に材料調達が可能な国があれば、その国で全てを調達し、それを全生産拠点に使用する活動を目指していくことでグローバル競争力を高めて対応していく。一方、国内では、一般商流を使う販売について、市場での割合の低いところや未開拓市場を積極的に攻略していくために、本社の営業を出向させて販社の営業を教育育成をするとともに、顧客を開拓していく体制を整えていきたい。海外では、3年がかりで中国に代理店のネットワークができはじめ、自動車用ベルトや一般産業用ベルトを中心に信頼関係の基盤ができあがってきた。また当社が弱い地域これから伸びるという地域に駐在事務所をおいて根付いた活動を行っていく。そのために、各地域の要求品質に応じた製品を開発していくための情報収集やマーケティング活動の強化を目指す。また生産設備の粗油・交換設備等の補修市場の開拓も注力していく。

 

 自動車用ベルト事業の今期の見通し
 谷社長 計画通りに推移しているが、海外では中国、インド経済の停滞感がでており、中国の補修市場をいかに確保できるかが重要になってくるのではないか。国内では今後自動車のエコカー補助金の終了後の反動がどの程度影響があるかが懸念事項である。またHV、EV等の次世代自動車の対応については、ユーザーの要求する製提供や製品のバリエーションを増加することで対応していく。