橋梁用免震 免制震部材各社の重点販売製品と解決提案

2012年05月31日

ゴムタイムス社

 地震時の橋梁倒壊防止 求められる耐震補強 技術開発競争が加速

上RB、HDR 下LRB

上RB、HDR 下LRB

 道路橋免震用ゴム支承に用いる積層ゴムー試験方法(JISK6411)のJIS規格が制定(3月21日)された。 同JIS規格は地震時にも橋梁の倒壊防止を目的とした極めて有効な免震用ゴム支承に用いる積層ゴムの普及促進を目的として制定されたもので、建築免震用積層ゴム支承のJIS規格2件が昨年8月22日に制定・公示されたのに続くもの。 日本ゴム工業会では2005年より、ISO/TC45国内審議委員会の中に免震ゴム・ゴム支承分科会(主査:東北大学原子分子材料科学高等研究機構 西敏夫教授)を設置し、免震用積層ゴムのJIS化検討を進めてきた。

 ◎背景・経緯 
 1930年代頃、ゴム支承は、ヨーロッパにおいてプレストレストコンクリート橋用の固定及び可動支承として、いわゆる“パッド型積層ゴム”が道路橋に採用されている。 日本国内においては、1950年代にヨーロッパから、プレストレストコンクリート橋の導入と同時にパッド型積層ゴムが使用されるようになった。当初、積層ゴムは固定及び可動支承として、橋桁の回転吸収及び温度変化による桁の伸縮に対応することが目的であった。これらのパッド型積層ゴムの品質管理及び試験方法は、1973年発行の道路橋支承便覧を適用している。
 一方、1972年に地震力を複数の下部構造に分担させ地震力の影響を分散させる目的の地震時水平力分散型ゴム支承が海外に先駆け日本において実用化された。さらに1995年1月に発生した兵庫県南部地震による道路橋の甚大な被災経験を踏まえ、1996年に道路橋示方書・耐震設計編が改定され、免震設計法が具体的に導入されるに至り、免震支承の採用が飛躍的に拡大した。
 これらの道路橋免震用ゴム支承に使用する積層ゴムの品質管理及び試験方法は、2004年発行の道路橋支承便覧を適用している。この度の東日本大震災でも多くの免震橋梁が東日本地方に存在し、その有効性を証明している。世界的に見ても有数の地震国である我が国においては、地震災害の極小化と経済活動持続性の重要性から、さらに免震橋梁を普及させることが大切と考える。
 このような観点から、まず免震技術で世界のトップレベルにある日本が主導して国際規格ISOの制定を目指し、2005年(2000年より審議スタート)に橋梁及び建築関係の免震用ゴム支承に使用される積層ゴムのISO規格が制定された。新規に制定されたISO規格は、技術進歩に対応して2010年に改訂版が制定されている。
 しかし、ISO規格は、それぞれの国によって地震の規模や地震に対する考え方、さらには法規制が異なるため、積層ゴムの性能を規定する評価指標や試験方法の共通認識化に重点が置かれ、具体的な基準値については各国の設計者と生産者の合意によって決めることとするに留まった。ISOが制定されたのを受けて日本における具体的な基準値を盛り込んだJIS規格の検討が免震ゴム・ゴム支承分科会において開始された。
 一方、使用者側においても、製品性能や品質について客観的評価に基づく判断や比較検討が可能となることで、道路橋免震用ゴム支承に使用される積層ゴムに対する信頼が高まり、一層の普及が図られることが期待できる。
 特に、今回の東日本大震災での復興に寄与できるとともに、さらには国際市場においても、日本の優れた免震技術が適正に評価され、その普及が促進されることが期待でき、免震技術、積層ゴムの更なる技術開発の促進にも寄与することが期待される。
 ◎ポイントと期待効果
 道路橋用と建築用とで試験方法規格を分離させて、それぞれで規定されている要求特性項目、試験方法,用語などで規格を構成することとし、試験方法の標準化を目的として、できる限り試験条件を規定した。 現在、道路橋免震用ゴム支承に用いられる積層ゴムは、道路橋支承便覧に試験方法の概要が示されているが、多種多様な製品があることから、積層ゴムの基準値を示したものではなく性能を明らかにすることに重点が置かれている。 今回のJIS制定に当たっては、積層ゴムに特化して、要求特性、試験条件に関する生産者間、及び生産者と使用者間の認識を統一し、共通化することを目的として規格開発が行われた。 これらのJISが制定されることによって、道路橋免震用ゴム支承に使用される積層ゴムの性能に関する客観的な評価指標及び評価方法が示されることとなり、生産者側にとって新たな目標が定まるとともにコスト改善への道筋が開ける。 (2012年5月28日紙面掲載)

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