【TPE特集】 アロン化成 「モノづくりセンター」で開発強化

2012年05月14日

ゴムタイムス社

「モノづくりセンター」で開発強化 「グレイザード」で電材分野拡充

アロン化成

  • 住所: 東京都港区西新橋2丁目8番6号 住友不動産日比谷ビル8階
  • TEL: TEL  (03)3502-1401
  • WEB: WEB http://www.aronkasei.co.jp/

 東亞合成グループのアロン化成は、提案型メーカーとしてものづくり力を強化するため研究開発施設である「ものづくりセンター」を名古屋工場西側隣接地に設立(2011年11月15日開所)し、東亞合成グループと連携して探索、開発を深化させ、多面的な視野に立ったユニークな製品開発を展開している。
 同社は異なる事業セグメントが保有する知見、ノウハウを部門横断的に共有化することにより、シナジーを高め、既存概念にとらわれない新規製品の開発、提供を目指している。
 同社は中期経営計画でコンパウンドメーカーとしての事業領域の拡大を図ることとし、エラストマー事業を重点指向分野に位置づけ、スチレン系熱可塑性エラストマー 「エラストマーAR」を自動車関連から電子材料、電器、食品・飲料、医療、玩具、雑貨など幅広い分野で用途展開を図っている。  
 近年、 電子材料、医療用分野での需要開拓に取り組んでいるが、電子材料分野では「放熱エラストマーCHシリーズ」を「グレイザード」ブランドに統一、高熱伝導性熱可塑性エラストマーとして戦略商品に加え、事業展開を行っている。 
 新ブランドの「グレイザードARシリーズ」は独自の配合技術とコンパウンド化技術を駆使、特殊な軟質系の熱伝導フィラーを導入し絶縁系で熱伝導率1~3W/m・K、汎用の熱可塑性成形機で使用可能なエラストマーとして、低硬度タイプ(硬度=HsA10(31E))、高制振タイプ(硬度=HsA48 ブチルゴム並の制振性)、高熱伝動タイプ(2W品、3W品)の4グレードを品揃えシリーズ化した。
 現在、主流であるシリコーンゴムなどと同等以上の放熱性をもちながら、シロキサンフリーで熱伝導率、制振性、圧縮性、難燃性、長期耐熱性、耐湿性に優れるのが特長。押出成形に加え、インジェクション成形適応で形状の自由度がアップしており、トータルコストが抑制され、リサイクルも可能となっている。
 電子機器やLED機器の高密度化や薄型化の中で信頼性を保障するための熱対策の市場ニーズを踏まえてグレードの充実を図ったもので、薄型テレビやノートパソコンなどの基板・発光体から発生する熱を効率的に逃がすことができる放熱シートは今後も堅調な需要が見込まれ、同社では耐熱温度の向上を図った高耐熱グレードについても、現在、開発中。
 一方、医療用グレードでは輸液バックの栓体に採用されており、生産も順調に拡大、薬栓用エラストマーの開発で得た医療分野向け配合技術を応用し、注射器用ガスケットなど他の医療部材への展開とともに、育成していく方針。
 また、同社では「ものづくりセンター」でのエラストマー開発を強化、スチレン系以外のウレタン、ポリエステル系のコンパウンドについても製品開発を進めており、自動車用途向けの高耐熱性に優れるアクリル系熱可塑性エラストマーを開発、今秋にもサンプル出荷を開始するとしている。
 足元の需給動向については各ユーザーの需要が回復したことに加え、医療や電材などの新規分野の需要が増加しており、今期から放熱性グレードの新規製品の用途展開が寄与するとし、前年比アップの販売を見込んでいる。
 同社エラストマー事業部ではスチレン系の得意分野である食品、医療分野でのグレード開発を強化するとともに、既存分野では提案アイテム品種を拡充、新規分野では放熱グレード、耐熱性に優れるアクリル系エラストマーとこれをベースとした放熱グレードを大きな柱として育てていく方針。

(2012年5月14日紙面掲載)

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