【ゴムシート特集】 入間川ゴム 収益体質強化で成果

2012年03月22日

ゴムタイムス社

 清水プロジェクト 商品開発体制を一層強化

 入間川ゴム㈱は、5ヵ年の経営計画「清水プロジェクト」を推進しており、新年度の2012年度は4期目を迎え、仕上げに向けての更なる企業体質強化に乗り出す。
 同社はこれまで収益体質の改善・強化を狙いに、不採算事業の縮小や製品の見直しなどを推進してきた。リーマンショック後のリカバリーに対応して大幅な経費、人員削減なども実施したが、3期目を経過して有能な人材が育ってきているほか、生産面においても人員配置転換の効果により、少人数でも生産効率を図れる体制構築を確立した。
 今期(2012年3月期)の業績見通しについては「足元をみると、震災復興需要は始まっておらず弱含みであるが、上期の9月頃まではほぼ予想通りの売上高となったが、10月以降はトーンダウンして需要が低迷、年内一杯は厳しい環境が続いた」(同社)と分析。市場別の需要動向は、鉄道車両分野は安定した需要があったが、一方で、昨年好調であった弱電分野の需要が弱含みの影響が出た中、第3四半期までは堅調に推移した。
 同社は「清水プロジェクト」における収益性向上の施策で、天然ゴム製の厚物シートは陥没価格にあり、事業採算が悪いことから代理店にコスト圧迫要因の実態を説明、一部価格是正を進め、結果的に厚物シートの生産が縮小された。厚物シート生産の余剰ラインに合成ゴムシート生産を組み込み、人員も再配置したことで生産性も向上、合成ゴムシートの前倒し生産も可能となり、納期が早まり、サービスが向上した。
 業績予想については、売上高は計画通りの約23億円、経常利益は約4000万円程度を計上する見込み。
 新年度は「清水プロジェクト」の3年期目に完結できなかった事項の徹底も図る。「既存製品の拡販だけでなく、ニーズを先取りした商品開発を加速させる新たな体制つくりに着手する。開発面においては、これまで蓄積してきたゴム材料の配合技術をより進化させ、新規用途の開拓が大きな課題になる」(同社)。(2012年2月20日紙面掲載)

 上期業績は堅調に推移 最新式プレス機導入し本格展開

 入間川ゴム㈱の今期の業況は、第1四半期(4―6月)は大震災直後の混乱が見られた中で、復興需要並びに加工メ ーカーなどの在庫確保などからシート製品の出荷は順調に伸びたが、第2四半期(7―9月)は駆け込み需要の反動も あり、需要は一服感を示したという。上期実績は予算対比ではクリアする見通し。
 同社は経営計画「清水プロジェクト」において、前半の2年間で関係子会社の統合や拠点集約などを実施、組織面で の体制強化を図った。事業面でも厚もの天然ゴムシートなど不採算事業の縮小や製品見直しなどを行い、3年目の今期 は強固な基盤を構築し、最終2年間で新たな飛躍を目指す。
 「企業体質の強化という点では、この2年間で順調に成果をあげている。今後は収益性を重視した営業展開を図り、特殊合成ゴムシートなどの販売比率を高め、合わせて新規製品の開発、販売を伸ばしていくことが課題」(同社)。
 下期の施策については、自動車生産の回復が期待されることに加え、難燃性を付加した鉄道車輌向けの特殊シート、 さらに弱電部品需要の増大に期待している。8月上旬には500㍉角のシート・成形品製造に適した最新式のプレス機を 本社工場に導入、本格生産を開始した。
 「公共投資を中心とした土木建築関連需要は構造転換が進み、以前ほどの規模ではなくなった。これに代わって、市場は小さくても高機能部品としての使われ方が増え、いかにニーズを先取りするかが生き残り策になっている」(同社)と している。下期の期待分野・商品としては「福島原発の事故から、将来的には火力発電所向けのゴムシートの需要が伸 びることが予想される。また、被災地の復興関連では都市インフラ用の緩衝材、港湾関係のシート製品などの需要増が 期待される」(同社)。
 今後は海外向け製品も更に推進する方針だ。国内のコスト高を背景に自動車部品や家電・弱電メーカーの海外生産 が一層拡大していく中で、代理店経由でのシート原反などの輸出にも注力する。
 通期の業績見通しについては、震災による減産などの悪影響は比較的軽微ですみ、インフラをはじめとした復興需要 に期待しており「期初見込んだ業績は確保できるだろう。拡販の成果では上ブレも期待できる」としている。(2011年9月19日紙面掲載)

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