クレハエラストマー 超広幅(3000㍉)ゴムシートを生産

2012年01月23日

ゴムタイムス社

 クレハエラストマー㈱は、ゴムシートとしては世界最大級となる超広幅シートを同社亀山工場で2月から生産開始する。最大3000㍉幅のシートを継ぎ目なく生産できる最新鋭の大型加硫装置を新規導入したもので、これにより、従来のゴムシートでは参入が困難だった新市場分野への進出が可能となり、同社はシート事業の拡大を図る。
設備稼働で安全祈願(=亀山工場) 同社は昭和45年に関工場(現・亀山工場)に当時としては最大の広幅加硫装置を導入し、1500㍉幅や2000㍉幅のCR、NBRシートなどを製造販売、さらに1500㍉幅以上の各種真空プレス機用高引き裂き、高伸張シリコーンゴムシートや道路標識用アプリケーターダイヤフラムなど、広範な用途で広幅シートの需要に対応してきた。
 高引き裂き、高伸張グレードのシリコーンシートは、硬さ30~60HSまで豊富なラインアップを揃え、国内以外の海外ユーザーにも販売展開し、実績を伸ばしてきた。とくに主力製品の「HS950T」は、世界のユーザーに認められた標準製品に育ち、最近では製造装置の大型化に伴い、2000㍉幅を超える受注も増加、こうした超広幅品のニーズには加硫シートのジョイントで対応してきた。
 同社は、新規開発テーマによる3000㍉幅製品の事業化計画もあり、亀山工場に新規設備の導入を決断した。昨年5月に工場内レイアウト変更を含めた設計に着手、既存設備の移設、老朽設備の撤去、大型加硫設備並びに前後装置導入など設備投資は総額で数億円超の規模。今回の新設備は3000㍉幅超の加硫ゾーンと表面処理ゾーン、さらに新方式の2次加硫ゾーンを含み、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの連続生産にも対応する。
 クレハエラストマーは12年からスタートの3ヵ年中期経営計画において、シート事業は広幅製品の販売拡大を目指す考えだ。現在、シート事業の広幅製品群の販売比率は8%程度であるが、新設備の稼動により、3年後には販売比率20%超まで引き上げる。
 シート事業の戦略については、広幅製品の拡販のほか「VBRAN」や極薄シートなど高機能商品の拡大、さらに汎用品の販売維持の3つをコアに事業推進する。広幅製品の販売に関しては、ルーフィング材や遮水シートなど、従来のゴムシートの枠では参入が困難だった新たなカテゴリーへの展開が可能になる。
 「1㍍幅が標準ではなくなり、設計自由度が高まり、顧客ニーズを反映させたモノづくりを推進することで独自の規格・独自ブランドの確立を目指す。日系の加工メーカーがアジア・中国へ進出しており、海外の需要も積極的に取り込んでいきたい」(同社)。
 生産計画は当面、従来設備も並行生産するが、将来的には設備集約化により生産性改善を図る。需要が増加している真空プレス用シリコーンシートは生産対応を整え、早期に大型加硫装置への切り替えを進める。
 東日本大震災復興支援では、インフラ整備として広幅ゴムシートの需要増に期待、3月以降は「東北復興キャンペーン」を企画している

 

 

 

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