日本ゴム履物協会 年頭所感 宮地治夫会長

2012年01月16日

ゴムタイムス社

 東日本大震災により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 昨年発生した自然の猛威は産業界にも甚大な被害をもたらしました。部品供給網切断、発電停止により操業停止や稼働時間見直しが行われ、タイ洪水も代替生産を余儀なくさせ、国際的な生産拠点の見直しに迫られました。その一方で、日本製主要部品の不足が海外メーカーの生産にも影響と伝わり、改めてわが国製造業が世界に深く関係しているかを再認識させられました。また震災は消費行動も萎縮させました。総務省家計調査による1~10月の消費支出が前年同期比97%に対して3月単月では92%と大きく落ち込み、履物購入も同様に累計が99%、3月だけを見ると84%でありました。小売店自身も被災され、営業を続ける店舗も電力制限を受け、全国に広がった自粛ムードが消費を冷え込ませました。
 協会員によるゴム履物類の統計も1~10月の輸入を含めた生産は前年比97・8%、販売は98・9%でほぼ前年並みの実績ですが、3月の販売は91・8%という結果でありました。品種別の販売累計は地下足袋が94・6%と減少、農業人口や建設・製造就業者の減少が続いている上に、昨年は各地の祭りなどイベントが中止となり、作業用足袋、祭り足袋の需要が落ち込みました。また布靴類は96・7%、最需要期である3月が低温のため春物の動きが鈍く、計画停電や販促セール中止などが影響しました。反面、総ゴム靴類は110・3%と増加、年初来の降雪、早めの梅雨入り、盆明け後の台風という天候要因に、鳥インフルエンザ対策の需要がありました。
 何れにしても最終消費財である履物にとって人口減少、少子高齢化は基本的に需要減につながります。この傾向に歯止めがかからない以上、協会員は足の健康、安全、安心を追求し、ファッション性、快適性、環境にも配慮した価値を創造して品質維持と安定供給に努めて、お客様から信頼されるメーカーであり続けなければなりません。今や履物は輸入品が大半を占め、協会員の手造り製品も輸入比率は90%を超え、輸入先は中国など経済成長が著しい東南アジアが中心です。デフレから脱却できないわが国が物価上昇率の高い国から輸入するわけで、輸入単価の上昇と国内の低価格志向という矛盾が存在します。昨年の円高は歴史的とも形容されましたが輸入円単価は上昇しました。中国当局は賃金水準の上昇を容認しているとの報道もあり、今年も上昇が危惧されます。これまで以上にコスト対応の重要度が増しており、商品の価値と価格が見合うためにも弛まぬ開発と管理が不可欠となっております。また継続的な最低賃金引き上げに加えて、世界的な景気後退、人民元の切り上げ等により産業構造の転換が進み、労働集約型産業の倒産、工場閉鎖を招いています。履物工場の閉鎖も相次いでいるようで中国中心の生産依存体質からの脱却も必要であり、当時に中国生産の優位性も認めるところであり、情報を共有化して協会員が協力し合って効率的な生産を模索していくことも重要な課題となってきました。
 輸入品が多い履物業界だけに新規参入も多く、店頭には色々な商品が並べられています。選択の幅が広がることは大変結構なことであり、その中で協会員は常にお客様を意識して、満足いただける商品の提供に努めて参ります。是非とも安心と信頼のマーク、“JFマーク”をお買い求めの際の目印にしていただければと存じます。
 最後になりましたが、被災地の一日も早い復興をお祈りし、今年は良い年でありますよう祈念いたします。