東ソー 年頭所感 宇田川憲一社長 (1月4日の本社での年頭訓話から抜粋)

2012年01月09日

ゴムタイムス社

  昨年11月13日に発生した、南陽事業所第二塩化ビニルモノマー製造施設(以下、第2塩ビモノマー設備)の爆発火災事故により、大変残念なことに、当該設備の責任者である従業員1名の尊い命を失った。その四十九日を終えたばかりで、正月気分とは言い難いが、新年を迎え、気持ちを新たにし、失ってしまった安全と信頼を取り戻すべく努力することを誓う。 今回の爆発火災事故は、今まで当社が経験したこともない大規模かつ酷い事故であった。尊い人命を失い、設備的にも発災した第2塩ビモノマー設備は大きく損傷しており、また隣接する東ソー・エスジーエムも被害を受けている。そして、何よりもショックなのは、国内最大の能力を持ち、当社のコア事業であり、自社技術として誇ってきた塩ビモノマーの設備で事故が起こってしまったことである。当社の塩ビモノマー事業は、1966年の南陽第1塩ビのスタート以来、45年の歴史を持ち、沢山の先輩諸氏の努力により築き上げられてきた。その設備の一つを大きく損傷させてしまった責任を痛感している。 また第2塩ビモノマー設備が今回の事故で長期間止まることになり、その存在が南陽事業所のバランスのみならず、当社グルーフの事業運営、損益にとって、極めて影響が大きいことを改めて実感している。尊い人命を失ったことを決して無駄にしないためにも、今回の事故原因を徹底的に究明し、再発防止対策を講じ、皆さんの協力を得て、何としてでも第2塩ビモノマー設備の復旧を成し遂げる。

 今年の取り組むべき経営課題は、第一に全社安全総点検である。今回の事故については、外部の有識者を含む「事故調査対策委員会」が設置され、原因究明、対策作りが行われる。この結果を踏まえ、このような事故を二度と起こさないために何をすべきかを全社で考え、実施する、社長直轄の委員会を設置する。必要な安全設備対応は何か、原理原則を理解させる製造技術教育、本当に身につく安全教育はどのように行えばよいか等を議論し、決定し、実行する。この活動なくして、失った信頼を取り戻すことはできないと考えている。
 第二は収益改善である。景気の悪化と今回の事故による損失により、2011年度下期のみでなく、2012年度も苦しい収益になると考えている。安全に直結する修繕費以外の固定費の削減、原単位等変動費の改善、購買・営業活動強化等、収益改善につながる努力を皆さんにお願いする。
 第三は新増設計画の推進である。会社の活性化、成長のためには、このような時期であっても、新増設計画が必要だと考える。新増設計画は必ずや、近い将来の当社の力になってくれるはずである。計画実現に向け、関係者の一層の活躍を期待する。最後に、今回の事故への対応は前述のように、しっかり行うが、それと同時に、このような困難に負けない、強いファイティングスピリッを持って2012年を乗り越えていこう。

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー