東北ゴム商組が商工懇談会を開催

2011年11月08日

ゴムタイムス社

 東北ゴム商組(秋保幸男理事長)は10月21日、仙台サンプラザ(宮城県仙台市)で商工懇談会を開催した。3月に発生した東日本大震災の影響で、同組合の会員企業多数が甚大な被害を受け、今回の懇談会の開催も危惧されたが、こういった時期にこそ情報交換を行って難局を乗り切ることが重要と認識し、会議形式での開催となった。

あいさつする秋保理事長(右から2人目)

 冒頭、あいさつに立った秋保理事長は「東北地区は大変な状況で、まだまだ復興と呼べる段階ではないが、着実に進んでいくことを切望する。私たちは皆様から助けられているということを決して忘れることなく、今後も頑張っていきたい。今回、遠路より参加していただいた方も多く、より良い商工懇談会にしたい」などと語った。
 このあと懇談会に移り、メーカー団体を代表して日本ベルト工業会の中村典雄常務理事が、また日本ゴムホース工業会の阿南正彦常務理事があいさつ、それぞれゴム・樹脂ベルト並びにゴムホースの直近の生産出荷状況を説明した。引き続き、商組側の報告が行われ、秋田支部、山形支部、宮城支部、いわき支部岩手支部の近況が説明された。それによると、秋田支部、山形支部においては津波の影響は受けなかったが、直後の電力不足でセットメーカーの稼動問題から部品逼迫の影響が見られたという。岩手支部、宮城支部は津波により沿岸部が壊滅的な被害を受けた。ガレキ処理から運搬ベルトの動きがあるが、復興には時間を要するものと見られる。いわき支部においては、原発事故の影響で活動は全くめどが立っていない状況―などが報告された。
 参加メーカーの状況報告は次の通り。
 〈弘進ゴム〉
 ゼネコンなどとの連携によりガレキ処理などの需要に対応している。今後もいろいろな面でご協力できることがあれば進んで行いと考えており、情報をいただきたい。
 〈東北ゴム〉
 当社も津波の被害を受け本社工場が生産中止に追い込まれた。復旧活動により9月から全製品の生産活動を再開したが、設備的には震災前の95%程度。人間で例えるなら退院直後にフルマラソンに参加しているようなもので、来年は心機一転頑張りたい。
 〈バンドー化学〉
 震災の影響では、足利工場の壁が一部損傷したが、5月からは通常の生産体制となった。需要面では、OA機器や弱電部品企業の海外移転による国内産業空洞化が懸念される。
 〈十川ゴム〉
 東北ゴム商組の商工懇談会は初参加。震災直後の4―6月期はゴムシートの復旧需要が増加したが、その後は落ち着いている状況。建機の高圧ホースは前半から好調を維持しており、下期も期待される。
 〈クラレプラスチックス〉
 福島原発事故に関係して冷却用でのホースの緊急対応があった。今後の東北地域全体の復興で何ができるか、東北駐在を設置して情報を集めて支援強化に努める。
 〈カナフレックスコーポレーション〉
 生産拠点における震災の影響は、仙台工場では設備に被害はなく、直ぐに生産体制は整った。栃木工場で一部被害を受けたが、3月中には通常稼動となっている。今後は道路の復興需要で貢献していきたい。
 〈横浜ゴム〉
 MB関連の工場では茨城工場がブレーダーマシンおよび一部建屋で損傷したが、5月には復旧して通常の生産体制となっている。同工場では、主力の高圧ホースが建機向けの需要が好調。海外の輸出が悪い状況で、在庫が集まりつつある状況。
 〈ブリヂストン〉
 工業品の生産拠点で一番北にあるのが那須工場。一部工場に被害はあったが、安全確認の後3月下旬から通常の生産を続けている。現在は、東北地区を最優先に営業展開を行っている。
 〈東拓工業〉
 生産拠点は大阪、静岡で震災の被害は受けなかった。復興需要としては来年あたりからインフラ整備向けに本格化することが予想され、地域に密着して商品供給に努めていきたい。

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