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押出成形の動向と温故知新 株式会社ケンシュー 倉地育夫

2019年04月15日

ゴムタイムス社


ポリマーTECH Vol.1(18-23ページ)より
特集1 押出成形・射出成形技術の最新動向 押出成形の動向と温故知新 株式会社ケンシュー 倉地育夫

1 はじめに
 高分子材料のレオロジーを制御して一定の形を与え、成形品として提供する技術を成形加工技術と呼ぶ。押出成形は、フィルムや無端ベルト、繊維、パイプ、棒、被覆電線、異形押出品など長尺成形品の製造に使用され発展してきた。
 ブリヂストン入社時の工場実習で初めてゴムの押出成形に接した。そこで、この道30年の職長から教えられたのは、「ゴムの押出成形は、行ってこいの世界だ」という名言である。
この言葉は、コンパウンドの素性が悪ければ、いくら押出成形工程で技術の改良に努力しても高品質の成型加工品を製造できないという意味である。すなわち、押出成形では形状付与技術に集中し、成形体の機能や物性についてはコンパウンド段階でつくり込んでおく必要がある。
 それから25年後、コニカミノルタでカラープリンター複合機に用いる中間転写ベルトの押出成形1)を担当した。前任者は6年間の技術開発において外部のコンパウンドメーカーから供給された半導体PPSペレットを使って無端ベルトの押出成形技術を開発してきた。しかし、成形歩留まりが上がらず、製品化計画終盤になって筆者が担当することになった。
 このとき、ブリヂストンの職長の言葉を思い出し、コンパウンドの混練技術に着目した。そして新たなカオス混合装置を開発した。このプロセスで製造されたコンパウンドを用いて、無端ベルトの押出成形技術開発を引き継いでから半年で歩留まりを90%以上へ引き上げることに成功している。
 押出成形技術について温故知新の体験談を緒言で述べた理由は、コンパウンド品質が押出成形プロセスに大きな影響を与える問題は、今でも40年前と変わっていないが、技術開発過程で見落としがちだからである。

2 押出成形の最新動向と事例
2.1 耐熱性エンジニアリングプラスチックの押出成形

 融点の低いPETや塩ビ、ポリオレフィンなどのフィルム成形技術は、比較的早く実用化されているが、PPSや熱可塑性PIフィルムなどの耐熱性材料の押出成形技術が

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