【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情14  インドネシアのゴム業界

2017年01月05日

ゴムタイムス社

 日系のタイヤ、ゴム会社の進出状況

 インドネシアは人口2・5億人、自動車生産が年間100万台強という国です。人口が多く、自動車生産もこれだけあると、ゴム産業もかなり発達しているのではと思えますが、意外にローカルのゴム会社がありません。逆に言えば日系のタイヤ、ゴム会社が大きな工場をもっているのです。

 乗用車、トラック・バス用タイヤでいえば、ブリヂストン、住友ゴム工業がそれぞれ40年、20年以上前からインドネシアでタイヤを生産し、インドネシア国内だけでなく東南アジア各国に輸出し、また日本向けには車のトランクに入っているスペアタイヤも生産しています。現地ローカル系では、通称GT、Gajah Tunggal社が大きなタイヤメーカーです。

 日本の通関統計を見ると、2015年には4000t、約92億円のタイヤがインドネシアから輸入されており、日本のタイヤ輸入では、タイ、中国、インドネシアが3大供給国になっています。単価が他の2国より安いのは、二輪用タイヤ、スペアタイヤが多いからでしょう。

 二輪車用タイヤでは、イノアック(井上ゴム工業)が圧倒的に強く、インドネシアでもIRCブランドとして知られ、GTとの合弁もあってたくさん生産しています。

 工場用ゴム部品では、かなり前からイノアックが進出し、押し出し品、型物品、なんでも生産しています。インドネシアでは、「INOACはインドネシアの会社だ」と思っている人も多いようです。

 現地系では、日本の複数の自動車会社と現地合弁を組むASTRO INTERNATIONALグループのINDOKARLO、KALIBARU、KARYA PUTRA SANGKURIANGあたりが、自動車ゴム部品を生産しています。これらの一部は日系自動車メーカーにもゴム部品を供給していますが、重要保安部品ではありません。

 日系ゴム会社もこの10年、大手20社が進出してきており、状況は中国、タイ、米国と同様になりつつあります。

 原料面ではどうでしょうか? ゴムコンパウンドでは、エラストミックス社が2014年に進出しています。現地国内材料としては、天然ゴムは世界第2位の生産国ですが、RSS3グレードの生産量が少なくてSIR20グレードが多く、日本のゴム会社からみると驚いてしまいます。

 合成ゴムではタイヤ向けのSBR、BRは現地生産されていますが、NBR、EPDM、CRその他は、すべて輸入品です。シンガポールの代理店から買うケースも多く、日本品、韓国品、台湾品、EU、米国品が中心です。

 カーボンブラックでは、タイヤ用グレードに現地生産品がそこそこありますが、工業用ゴム部品の特殊グレードは

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