日本ゼオン・住友化学 S―SBR事業統合で基本合意

2016年08月05日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンと住友化学は8月4日、溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S―SBR)事業の統合に向けた検討を開始することで基本合意したと発表した。

 S―SBR事業での新製品開発やコスト競争力の強化、安定供給の確保などによる事業強化が目的。新たな合弁会社の設立や、両社の子会社を含めたS―SBR事業の合弁会社への移管などについて検討する。

 今回の基本合意には法的拘束力がなく、今後、S―SBR事業の統合や、新会社に関する具体的な事項を協議する。

 デューデリジェンスと統合効果の調査・検討を9月末までに終え、12月末に最終契約を締結する予定。新会社の営業開始は来年4月を計画している。

 なお、事業統合の実施については、公正取引委員会など国内外の関係当局に必要な届け出を行いながら進めていく。

 S―SBRの製造設備に関しては、両社とも国内とシンガポールに拠点を設けている。

 日本ゼオンは徳山工場(同5万5000t)、シンガポール工場第1期(同3万5000t)に次いで、同工場第2期(同)が4月に稼働。生産能力は合計12万5000tになる。

 一方、住友化学は千葉工場(年産1万t)、14年6月に稼働したシンガポール工場第1期(同4万t)に続き、同工場第2期の建設工事を進めており、来年初頭にも商業生産に入る計画だ。

 S―SBRについては、両社のほか、国内メーカーではJSRと旭化成が製造を行っており、この2社も国内に加え、建設中のものも含めJSRはタイとハンガリー、旭化成はシンガポールに製造拠点を設けている。

 建設中を含めるとJSRは年産22万t、旭化成は同24万tで、旭化成はさらに能力増強の計画がある。

 S―SBRは、世界的な環境への意識の高まりや国内外でのタイヤラベリング制度の導入などを背景に、急速な市場拡大が見込まれている低燃費タイヤ向けの原料として使用されているが、こうした各社の生産設備の増強により、競争が激化している。

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