クラレ 新規水溶性ポリマー「タスビス」を開発

2011年09月27日

ゴムタイムス社

 ㈱クラレは、新規水溶性ポリマー「タスビス」として、水溶液の温度を上げると粘度が向上する「MYシリーズ」と、高い粘度の水溶液を可能とする「SNシリーズ」の2種類開発し、市場での評価を開始した。
 開発の経緯として、同社がこれまでポバール(ポリビニルアルコール)樹脂事業を通じて培ってきた独自の高分子合成技術を駆使して開発。水溶性と高粘性、高耐水性、耐薬品性という機能を兼ね備えているため、環境に配慮した水系の接着剤や塗料などに向けた増粘剤としての使用が可能になった。

 ポバール樹脂は1950年に同社がビニロン繊維の原料として世界で初めて工業化した合成樹脂であり、水溶性などの特性を生かして、紙加工剤、接着 剤、繊維糊剤などの用途に広く使われている。また液晶ディスプレイの基幹部材である偏光フィルムのベースとなる光学用ポバールフィルムとして、世界的に高 いシェアを有している。

 同製品の主な特長は次の通り。
 〈タスビス「MYシリーズ」〉
▽従来のポバール樹脂の水溶液は、温度の上昇に伴い粘度が低下するが、同製品の水溶液は温度の上昇に伴い急激に粘度が上昇する。
▽分子中に特殊な疎水性ユニットを有しているため、フィルムの上に塗布した場合、表面の疎水性が向上します。
 〈タスビス「SNシリーズ」〉
 従来のポバール樹脂と比べ、数千倍粘度が高い水溶液が作れるという特徴を有しており、目標とする粘度の水溶液を得るために、従来のポバール樹脂に比べ3分の1~5分の1の添加量に抑えることが可能になる。また、増粘剤としての機能のみならず、接着剤としても優れた機能を有している。(「SNシリーズ」には感温増粘性はない)
 〈主な用途〉
▽塗料、接着剤、紙加工剤、水系潤滑剤向け増粘剤やレオロジーコントロール剤
▽フィルム表面の改質剤

 

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