不二ラテックスの16年3月期 営業利益が3.6倍に

2016年05月17日

ゴムタイムス社

 不二ラテックスの2016年3月期連結決算は、売上高が69億800万円で前期比3・0%増、営業利益は6億5200万円で同261・8%増、経常利益は5億6900万円で同242・7%増、親会社株主に帰属する当期純利益は4億600万円(前年同期は1億5900万円の損失)となった。

 医療機器事業では、主力のコンドームは国内市場で大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心とした販路開拓に加え、ネット販売強化についても継続的に中核戦略と位置付け、販売チャネルの拡大と新規ルートの開拓を重点的に推進した。また、ドラッグストア、SNSを媒体としたタイアップ企画や販促キャンペーンの展開、マーケットリサーチの強化、店頭販売の協力体制強化、定番品の確保、周辺カテゴリー製品の新規投入に注力しシェア拡大を推進した。

 国内市場では依然として消費の減少傾向、価格競争、価格の2極化が続いた。また、ここ数年来の天然ゴムに代わる新素材製品のシェア上昇傾向も続き、天然ゴム素材製品を主体とする同社は厳しい展開を余儀なくされた。また、冷却商品は競合製品の増加とリピート需要の一巡、アイテム数の搾り込みにより売上・利益とも苦戦した。一方、輸出についてはアジア地域・欧州を中心に、日本製高品質をアピールした提案と新規開拓を継続した。継続的な営業活動が奏功するとともに、生産体制の再構築にも継続的に取り組むことで、安定的な受注を可能とし増収に転じた。

 メディカル製品については、医療現場での感染防止意識の高まりにつれて、超音波診断装置等のプローブカバー(感染予防製品)、内視鏡用の医療バルーンを中心に、引き続き堅調に推移。また医療現場のニーズに応えるべく開発したアレルギーフリー新素材製品は、市場の認知度も上がり引き続き堅調に推移した。

 この結果、同事業の売上高は19億8200万円で同11・0%の増加となった。セグメント損益は、生産合理化を継続的に推進し原価低減に努めると同時に、棚卸資産評価減の縮小と大型販促企画関連コスト負担の一巡、さらには増産効果と増収効果により1800万円の利益(前年同期は3億4800万円の損失)となった。

 精密機器事業では、主力のショックアブソーバ及びロータリーダンパーは、景気回復に伴い国内、輸出関連とも引き続き受注は堅調に推移した。国内市場では、ユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバが、製品バリエーション強化と性能面の進化により、売上と利益に安定的に寄与した。また、従来から製品のラインナップ強化をすべく開発に注力してきた大型産業用ショックアブソーバ及びエマージェンシーダンパーなども、市場に認知され売上が増加した。

 一般産業用の分野では設備投資が徐々に回復するものの、産業用向けショックアブソーバは大幅な受注増には及ばなかった。従来から主要な市場として位置付け、重点的に市場開拓を継続している住宅設備関連、自動車関連、家電、OA機器関連の分野で、受注は堅調に推移した。海外市場では同社の大手取引先の生産調整により受注が伸び悩み、前年を下回る実績となったが、来期は新たな顧客と大型の受注が見込まれる。

 また、拡大が見込まれる国内外の受注に対応すべく、生産能力の増強に向けた工場の増設に着手。従来から推進している製造ラインの全自動化・半自動化、加えて増産に向けた自動化ラインの新規投入による製造原価低減、人員の適正配置を含めた生産効率化と製造経費の低減、販売費節減への継続的取り組みを行いコスト圧迫要因の吸収に注力した。

 以上の結果、売上高は42億5300万円で同0・8%減となった。セグメント利益は、海外市場でのコストダウン要求や滞留在庫の処分・評価減の影響があったが、生産合理化をベースとした原価低減が奏功し、9億4400万円で同10・2%の増益となった。

 SP事業では、ゴム風船が主力となる販促用品市場はニーズの多様化と市場の縮小が続いたが、景気が回復基調にある中、徐々に広告販促活動やイベントなどに持ち直しの兆しが見られた。また、ヘリウムガスの供給が徐々に回復するものの、市場環境の本格的な回復には至らなかった。

 しかし、従来から継続している提案営業をベースにした新たな商材の提供が奏功し、大型のスポット案件の受注も実現できるなど、主力のゴム風船及びフィルムバルーンの受注が持ち直した。さらに今後の拡大が見込める海外テーマパークからの受注も増加した。前年に売上利益とも底を脱し、当期は回復基調に転じた。

 この結果、売上高は5億1700万円で同5・3%増。セグメント利益は、増収効果もあり1200万円で同221・4%増となった。

 その他では、売上高は1億5500万円で同8・7%増。セグメント利益は値上げ効果が大きく寄与し、3100万円で同97・2%増となった。

 2017年3月期通期の連結業績予想は、売上高が70億円で同1・3%増、営業利益が6億8000万円で同4・3%増、経常利益が6億3000万円で同10・6%増、親会社株主に帰属する当期純利益は4億3000万円で同5・8%増を見込んでいる。

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