デンカの16年3月期 減収も営業利益は3割増

2016年05月12日

ゴムタイムス社

 デンカの16年3月期連結決算は、国内外での拡販やコストの削減に努めるなど、業容の拡大と収益の確保に注力したものの、原材料価格の下落に応じて石化関連製品の販売価格を見直ししたこともあり、売上高は3698億5300万円で前期比3.7%減となった。利益については、円安による輸出製品の手取り増加や原燃料価格の下落による樹脂・加工製品の採算改善に加え、インフルエンザワクチンの増益やグループを挙げて取り組んだコスト総点検の成果などが収益拡大に寄与し、営業利益は306億3400万円、同27.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は194億7200万円、同2.4%増となり、それぞれ過去最高益を更新した。

 エラストマー・機能樹脂部門では、CR(クロロプレンゴム)は、同社青海工場に加え、米国の子会社デンカパフォーマンスエラストマーが11月より第2の生産拠点として事業を開始し、販売数量が増加し増収となった。スチレンモノマーやABS樹脂、シンガポールの子会社デンカシンガポール社のポリスチレン樹脂等は、販売数量は順調に推移したが、原材料価格の下落に応じて販売価格を見直ししたため減収となった。以上により、同部門の売上高は1556億1百万円、同6.4%減、営業利益は110億円、同150%増の大幅増益となった。

 インフラ・ソーシャルソリューション部門(旧名称インフラ・無機材料部門)では、特殊混和材の販売数量が増加し増収となり、肥料などのアグリプロダクツ製品の販売も前年を上回ったが、セメントや耐火物、鉄鋼用材料の販売は前年を下回った。この結果、同部門の売上高は、490億98百万円で2.7%増、営業利益は9億円で同66.7%減となった。

 電子・先端プロダクツ部門は、LED用サイアロン蛍光体は販売数量の増加で増収となったが、電子部品・半導体の搬送用部材等の機能フィルムや、電子回路基板および高信頼性放熱プレートは、販売数量の減少で減収となった。また、半導体封止材向け球状溶融シリカフィラーの販売も前年を下回った。この結果、同部門の売上高は、456億9200万円、同5.5%減、営業利益は61億円、同4.7%減となった。

 生活・環境プロダクツ部門では、医薬品は、子会社デンカ生研株式会社のインフルエンザワクチンが増収となった。加工製品では、合繊かつら用原糸や耐候性フッ素系アロイフィルムは、販売数量の増加により増収となり、食品包材用シートや子会社のデンカポリマーの加工品の販売も堅調に推移した。一方、プラスチック雨どいや農業・土木用途向けのコルゲート管、工業用テープの販売は前年を下回った。この結果、同部門の売上高は、793億9400万円、同1.0%減、営業利益は115億円、同25.0%増となった。

 次期業績予想については、為替は109円/㌦、国産ナフサ価格は3万3500円/klを想定し、売上高は米国子会社のクロロプレンの販売増や電子・先端製品の出荷増などにより、 3750億円、同1.4%増を見込んでいる。営業利益 は310億円 、経常利益 は280億円、当期純利益 205億円と、それぞれ前年度の過去最高を更新する増収増益を見込んでいる。

 今期も過去最高益を予想
       米CR事業がフルに寄与

 デンカの吉高紳介社長は16年3月期連結決算発表の席上、今期(17年3月期)の業績見通しについて、「為替円高などの逆風があるものの、米子会社の

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