大野ゴム 創業75周年で新たなスタート

2016年02月22日

ゴムタイムス社

大野ゴム工業 創業75周年で新たなスタート

大野ゴム工業75周年

「未来創造型企業」を目指す 7次中計で内製比率50%

 2016年に創業75周年を迎えた大野ゴム工業は、「未来に挑戦、未来を創造(つくる)」というスローガンの下、さらに100年企業を目指すべく、顧客のニーズを的確に捉えた最適なソリューションを提案し続けている。大野洋一社長に、昨年度からスタートした第7次中計の骨子、および今後の課題などについて尋ねた。

大野洋一社長 ◆第7次中計の骨子は
 先代からものづくりへのこだわりをバトンタッチされ、1993年8月に社長に就任して以来、ほぼ5年ごとに総合経営計画書を策定し、大野ゴムがこれからどのような形で進むべきかを定めるようにしてきた。これまで「目標挑戦型企業」としてやって来たが、15年度に策定した第7次5ヵ年計画では「未来創造型企業」の実現を謳っている。
 具体的には「音」「振動」「熱」を防止する技術・製品を、自動車、建機、住宅、医療、エネルギー、介護などの分野に結びつけて製品化する。そうしたものと、うちの存立基盤である自動車部品の市場と、双方で商品を生み出していく。
 目標として19年度(20年1月期)までに、売上高52億4000万円、経常利益3億1400万円(経常利益率6%)、人員250名、内製比率50%を達成したい。売上では前期実績比で約10億円の上積みとなる。きちんとした品質管理の中で、自分たちの最高の技術を生かした「手間暇かけたものづくり」を、これからも大切にしたい。

 ◆中計の目標達成に向けた戦略や投資予定は
 現在、栃木に基幹工場の喜連川工場、生活環境関連のゴムホースを中心とした馬頭工場、岩手にサテライト的な位置づけの遠野工場という、3つの生産拠点を有している。
 このうち遠野工場は、昨年12月に釜石花巻道路の遠野ICができたことから、物流環境が格段に改善した。現在は自動車部品のOEMと補修部品がほとんどだが、今後は工業用品や建築資材関係も増やしていきたい。今中計では、遠野における設備更新・増設を核として、3億円規模の投資を考えている。
 また、貿易部門を伸ばす必要がある。円高による競争力低下と「5825」ブランドのイミテーション品に苦しんだ東南アジアで、巻き返しを図りたい。好調な北米市場向けの強化と、海外日系メーカーのフォローも加えて、貿易の売上比率を現状の5%から10%まで引き上げるつもりだ。

大野ゴムロゴ ◆今後期待できる分野は
 円安が継続する中、一部企業で国内回帰する流れがあるが、海外工場を閉めてすぐに生産再開は難しいだろう。
 国内の独自資本で生産を続けてきた当社なら、OEMの形でお手伝いが可能だと、他のメーカーさんに声をかけている。現実に、少しずつそうした案件も出てきている。
 補修部品の新製品については、まだ自動車部品で手がけていないものもあり、研究を重ねているところだ。
 また、少子高齢化が進む中で、車の「自動運転」に向けた取り組みが動き出した。実用化が進めば、当然メンテナンスが必要だろう。自動運転支援に関する電装部品回りの研究開発も、視野に入れている。
 今中計の目標は、自動車部品、建築資材、貿易関係を柱にして、新規のそうしたチャンスを逃さないようにしないと達成できない。既存分も含めて、全体を積み重ねて上げていくつもりだ。

大野ゴム工業 ゴムを活かした製品づくり

大野ゴム工業 企業データ


 

創業75周年記念式典

感謝の意込め盛大に開催

力を合わせ鏡開き 同社は昭和16年(1941年)、創業者(現名誉会長)の大野金一氏が、東京都港区虎ノ門に個人商店として創業し、今年2月に創業75周年を迎えたもの。

 当日は宮城県石巻市に古来より商売繁盛の御神徳が授かるといわれる生産の神様「金華山黄金山神社」に同社の社員が赴き、銭洗い祈願をしてきたという御縁(五円)袋が、感謝の意を込めて出席者全員に配られた。 

 冒頭、あいさつに立った大野洋一社長は、個人商店から客先の要望に応えて生産工場を買収し、メーカーに転進した創業75年の歩みを振り返り、「大野ゴム工業は皆様方の商品、技術力、サービスをベースに私どもの内製工場の活動、営業活動を通じて現在に至っています。日頃の無理なお願い、ご協力を本当に感謝申し上げます」と出席者に感謝の言葉を述べた。

祝辞を述べる遠野市本田敏秋市長 また、あいさつの中で大野社長は吉田松陰の「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功はない。故に夢なき者に成功なし、夢ある者が成功する」という言葉を引用し、「未来に挑戦、未来を創造(つくる)」をスローガンとした第7次中期5ヶ年計画を、昨年からスタートさせたことを明らかにした。

 同社役員の紹介の後、岩手県遠野市の本田敏秋市長があいさつに立ち、「平成19年に大野ゴムさんとのお付き合いが始まりましたが、バリューセンター、遠野の第1、第2,第3工場と拡大し、当初13人でスタートした大野ゴムさんの従業員が今は70名近くになっております。そして、毎年、新規学卒という貴重な若い方を受け入れていただいております。昨年、12月には岩手県遠野市に復興支援道路・東北横断自動車道 釜石秋田線にて遠野~宮守間が開通。同社の事業活動拡大に繋がることを期待しています。お祝いに大野ゴムさんの企業ロゴ「5825」にちなみ遠野産のお米、582・5gをお持ち帰りいただきたく持参いたしました」と述べ、大野ゴム工業の遠野市での地域貢献に対し感謝の言葉を述べた。

 引き続き、大野社長はじめ小菅、加藤産商などの資材商社ら来賓代表が力を合わせた鏡開きが行われた後、来賓を代表して小菅の小菅清行社長が 乾杯の音頭を取り、宴に入った。

~75周年の歩み 沿革~

昭和16年02月 個人商店として虎ノ門に創業
昭和23年02月 株式会社大野商店(資本金30万円)設立
昭和29年02月 大野ゴム工業株式会社に改称
昭和30年02月 大阪営業所新設
昭和39年09月 足立区綾瀬に在庫センター完成
昭和42年07月 足立区綾瀬に管理本部新社屋ビル完成
昭和42年12月 大阪営業所新社屋ビル完成
昭和43年09月 福岡出張所新設
昭和45年04月 馬頭工場設立
昭和47年02月 工場を分離し、大野ゴム製造株式会社設立
昭和48年07月 名古屋出張所新設
昭和49年05月 スイスのシーザー社とゴム技術導入契約
昭和49年12月 虎ノ門に本社新社屋ビル完成
昭和55年07月 喜連川工場設立
平成02年07月 東京デリバリーセンター竣工
平成03年02月 創業50周年
平成04年02月 矢板デリバリーセンター竣工
平成05年08月 新会長・新社長就任
平成10年01月 大野ゴム製造株式会社吸収合併(現資本金に増額)
平成13年08月 創業60周年
平成16年07月 喜連川工場内、PRIME-C完成
平成16年08月 創立55周年記念・大野会長米寿
平成17年03月 馬頭工場 第二工場完成
平成18年08月 大野会長 卆寿
平成19年06月 遠野工場設立
平成20年07月 馬頭工場 シリコーンライン増設
平成21年04月 名古屋営業所移転
平成21年11月 遠野工場 第一工場完成
平成22年08月 大阪営業所 新社屋ビル完成
平成23年02月 創業70周年
平成23年12月 遠野工場 第二工場完成
平成24年09月 遠野出張所 開設
平成27年08月 仙台営業所 開設
平成27年08月 大野名誉会長 白寿
平成27年09月 バリューセンター遠野 開設

関連キーワード: ·