ランクセス 中国で「第2回ランクセス顔料シンポジウム」を開催

2015年12月11日

ゴムタイムス社

 ランクセスは12月11日、中国・上海で11月19日に「第2回ランクセス顔料シンポジウム」を開催したと発表した。

 今回のテーマは「移行段階にある世界の顔料業界―課題を持続可能な価値創造に転換」。同社の無機顔料ビジネスユニット(IPG)が世界の専門家とユーザーに対し、顔料業界の動向と今後の課題について知識を深める機会を提供した。

 同シンポジウムでは、中国で継続的に実施される環境規制の改革、顔料業界でグローバルレベルに同時進行する統合・再編、さらには塗料・塗装業界が直面する新たな課題などについて活発な議論が行われた。参加者は同社の顧客、販売パートナー、政府機関の代表者、専門機関、報道関係者などで、世界各国から150人を超えた。

 中国は無機酸化鉄顔料の世界最大の市場であるだけでなく、最大の生産拠点でもある。同国の経済は再編段階にあり、顔料業界にも大きな影響を与えている。

 中国当局の代表者らは、顔料業界における統合・再編が継続して行われることで意見が一致している。中国の第13次5ヵ年計画、そしてこの計画が塗料・塗装業界に及ぼす影響から、厳格化された環境規制に準拠できる酸化鉄顔料メーカーだけが中国で順調に事業展開でき、国家の発展概念として、環境汚染を大幅に削減することによって、2020年までに生活の質を根本的に向上することを明確に定義している。これは、顔料業界にとって広範囲のリスクアセスメントと再検討に基づき、全ての顔料製造プラントが例外なく高い環境基準に準拠するよう義務づけられることを意味する。

 政府代表者らは、さらに中国の新環境規制の影響について議論した。新規制に準拠していない企業には、厳しい処罰が下される。2014年だけでも、公害罪で起訴された件数は前年比で3倍に上る。さらに、新規制の結果として、年間製造量1万t以下の顔料メーカーの数は減少し続けるとされている。

 政府は、さらなる産業統合化の促進を目標とし、結果として中国市場には持続性ある製造施設を備え、増強された製造能力を持つ酸化鉄顔料メーカー数社だけが残ることになる。

 ランクセスの無機顔料ビジネスユニットの責任者であるヨーク・ヘルヴィッグ氏は、技術の高度化と最適化された製造プロセスが、この目標達成において非常に重要となると強調。寧波拠点で導入される新プロセスの例を挙げながら、これらの必須事項をどのように実施できるかを説明した。同拠点で使用されるこのプロセスは、特に、環境適合性の高い赤色顔料の製造のために同社が設計した。現在、中国で一般的に使用されている標準のペニマンレッド製造技術とは異なり、この新しい技術は、排ガス排出量を大幅に低減するだけでなく、プロセス水の効果的な処理システムを実現する。これは、生物学的脱窒素、限外ろ過、および逆浸透を使用することで、ほぼ全ての排水を工程に再利用できるため非常に効果的。

 2013年に開催された第1回のシンポジウムに続き、今回のシンポジウムも、ハイレベルな科学知識の交換の場となり、参加者に業界および多様な分野の専門家らとの交流の機会を提供した。ヘルヴィッグ氏は、「参加者や講演者から大変好評を頂きましたので、このシンポジウムを定期的に開催したいと考えています」と述べ、次回の「ランクセス顔料シンポジウム」を2017年に北米で開催する予定であると発表した。

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