【コラム連載シリーズ】やさしいゴムの基本知識6 ゴム製品が抱えている問題 伊藤眞義

2015年10月09日

ゴムタイムス社

コラム連載_伊藤眞義

 ゴム製品が抱えている問題

 ゴム製品が使われ始めて約200年、現在でも代替えがない重要な材料として、工業のみならず医療など広い分野で活躍しています。この間、製品が使用されている地球上では経済、産業、環境など、いろいろな分野で大きな変化がありました。ゴム製品もこの変化に対して製造工程を始め、使用後の処理方法まで含めた対応を考える必要があると思います。

 ゴム製品は、大型の設備と化学薬品などの配合剤を用いて製造されますので、防災、安全性に特別な配慮が必要であることは以前と変わりません。しかし、製造工程で使用されるエネルギーに関しては再考する必要があると思います。その理由は、製造工程で使用されるエネルギーが莫大であり、現代の省エネルギーの概念に沿っていない可能性があるからです。

 ゴム製品製造プロセスの概略は(1)素練り、(2)混練り、(3)架橋です。この工程で使用される全エネルギーは、使用する原料ゴムなどにもよりますが約4GJ/m3であり、その中で、混練り過程では全エネルギーの約70%に相当する約3GJ/m3が使用されます。この値は、液体中に固体物質を分散させる際の撹拌に必要なエネルギーの数万倍に相当します。したがって、混練り工程における作業効率の最適化が大変重要な課題となります。原料ゴムを混練機に投入する際、その形状やサイズがエネルギー消費量に影響を与えることが報告されていますので、この点を検討することも一案かと思います。

 加工プロセスの省エネルギー化対策として、液状ゴムの利用も考えられます。

ゴム材料のこれから(下)
ゴム材料のこれから(上
ゴム製品が抱えている問題
ゴム材料の物性評価
ゴム材料の中身
原料ゴムの種類と加工(下)
原料ゴムの種類と加工(上)
原料ゴムの歩み

全文:約1810文字

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